時間にすると丸一日くらい、実家に帰っていた。帰っても帰らなくてもいいくらいだったのだけれど、上の妹が帰らないの?と言ってきたからだ。そう言われると、帰ってやるのもいいかなという気になる。ちょうど早く実家に届けた方がいい挽きたてのコーヒーもあったし、と金曜の仕事帰りにそのまま実家へ帰ることにした。
父は私の好きなカレーを作ってくれていた。あんなことを言いながら、上の妹は帰るのを翌日に延ばしていた。彼女はいつも自由だ。
甘やかされて(あるいはお歳暮が有り余っているために)次々と食べ物を勧められ、死ぬほど食べた。当然の結果としてちょっと苦しくなるくらいになって、後はゆったりと休んでいた。家にいる間は、時間の流れ方が変わる気がする。速い気もするし、ゆっくりな気もする。違うのだけがたしかだった。
暖房の中でのんびりとして、ふと思い立って大きな窓を開けた。外にはレモングラスが信じがたいほどに茂っていて、しんと冴えた冬の空気が広がっていた。冷たい空気を胸いっぱいに吸い込んで、植物や木の匂いを感じて、帰ってきたなと思った。
帰りもたくさん食べ物をもたされた。私の胃袋を過信している。まあもちそうだしいいか、とありがたくもらって帰ってきてすぐに、無性にコロッケが食べたくなった。ちょうどよくもたされた袋に入っていた和牛工房白石の冷凍のコロッケを解凍するのをリビングで待ちながら、あ、帰ってきたな、と思った。