どこか、誰か、いつか。あてどのない言葉が好きだ。どこまでも広がっていて、今自分がどこにいても関係ないような気がするから。赦しに似た余白と寛容が、そこにはある。
たくさんの言語に触れるほど、私のもつ世界の狭さがより際立っていく。世界の言語は今7000くらいあるらしい。私の人生を1000回かき集めたって、ほんのわずかずつも掬い上げられない。途方もなく広い世界が、今日も少しずつ消えている。私が知る由もないうちに。途方もない話だ。自分の言葉の最後のひとりになって、そうして消えていくのは、いったいどんなふうなんだろう。
夜はつい終わりのことばかり考える。明日は明るいうちに日記を書いてもいいかもしれない。