魂の牢獄

undeva
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公開:2025/10/6

体が思うように動かないと、大学時代によく「肉体という枷がなければ」と冗談めかして言っていたことを思い出す。もともとはプラトンの引用だと知ったのは、何度か口にした後だった。

本来はもっと高尚な意味なのだろうけれど、「肉体は魂の牢獄」という言葉には日々の中で不思議に実感がある。疲れた時、眠い時、病気で苦しい時、囚われていると思う。私の心はもっと、どこか別の場所に行きたいのに。

私の人生の中では、とんでもなく自由だったいくつかの時間を思い出す。思いつきで国境を越えたり、行き先を変えたりした日々のこと。それからもっと昔、本を読むだけで、どこにだって行けた本棚の群れの片隅のこと。そうして、本当は多分、今だって自由ではあるのだと思う。その感じ方を忘れているだけで。

明日は本を読めるような時間が少しはあるだろうか。ずっと本と生きていたから、本を読むことができない時間は水に潜っているような感じがする。しばらくは息を止めて凌いでこれたけれど、そろそろ息が苦しい。