みぞれとロシア料理

undeva
·
公開:2026/3/10

午前は雪混じりの雨だった。積もるかもしれないと聞いていたけれど、午後にはすっかり晴れてしまった。滑りやすくなったり寒かったりと不便はいろいろあるけれど、めずらしいからか、雪が降るのはなぜかうれしい。福井の母の実家を思い出すというのもあるのかもしれない。冷たくて、しんと静かで、晴れてくると水路を雪解け水が流れていく音がして。家はもう人に貸してしまっているからあの場所に帰ることはないけれど、今でもあの景色は私の故郷の一部のような気がする。

母からモンブランのペンケースをもらった。ちょうど買おうと思っていた二本差しだったので、ありがたくいただく。受け継ぐという考え方が好きで喜んでもらうからか、こうして下賜される(あえてこう言っておく)ことは多い。引っ越したら使わなかったティーセットもくれるらしい。落ち着いたら家に来てもらって、それでお茶を淹れられたらいい。

ゼミ同期と待ち合わせをしたロシア料理のお店は高田馬場にある。チャイカという駅から近いお店は、テナントとして入っている割にこじんまりとしていて雰囲気がよかった。メニューに書いてあるところによると、ロシア語でカモメを意味するらしい。チェーホフを思い出す。たしか、神楽坂にかもめブックスという本屋があった。あそこは御書印をもらうとチェーホフの『かもめ』の一節を書いてもらえた。

料理は悩んだ末にシュクメルリとシャシリク、ボルシチにつぼやきと、ブリヌイを頼んだ。それからキノコのロシア漬け。ロシア漬けってなんだろう?と試しに頼んでみたけれど、かなりおいしかった。というか、どの料理もしっかりとおいしい。デザートのチョコレートケーキとキャラメルアイスに散らされた花びらもきれいだったし、サービスもいい。また来たいお店のひとつになった。

素敵なお店と出会えるとうれしくなる。いつかまた、この店に会いに来たい。

@undeva
本と旅と万年筆が好き。