ジンジャーエールの泡の色

undeva
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公開:2025/11/5

横倒しになったペットボトルの中、泡がいくつか、金色の液体に静かに残されている。それをじっとみていると、なんだかとてつもなくうつくしいものを見ているような気さえしてくる。

炭酸飲料全般が苦手だった。砂糖そのものが残されているような甘ったるさも、しゅわしゅわとした刺激も、飲んだ後の何かが上ってくるような感覚も。母も私に与えたがらなかったから、コーラが大好きな従兄弟家族に囲まれている時も、私の飲み物はいつもお茶だった。

末の妹はいつからか、ジンジャーエールだけは好んで飲むようになっていた。甘くない、辛めのものが好きなようだった。それを少しだけ分けてもらったことがある。すっきりとした辛さは、たしかに気持ちがよかった。

最近飲めるものが本当に限られているので、いける気がすると思ったものを全部試している。横たわっているジンジャーエールもそのひとつだった。忌避していた甘さも今はちょうどよく、量は飲めないものの、少しの間喉を潤してくれた。底にはりついた泡は息急く勢いで浮かび上がっては、ぷちんと弾けた。