ご飯と味噌汁

undeva
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公開:2025/9/29

死にそうになりながら実家に帰ってきた。荷物持ちのためだけについてきてくれたうちの人は、そのまま折り返して帰っていった。向こうから言い出してくれたことだけれど、近頃迷惑をかけてばかりで忍びない。

帰るとちょうど夕飯前で、父が味噌汁を作っていた。昔はあんなに嫌だったのに、今はどうしてこんなに美味しく感じるんだろう。不思議だ。炊き立てのご飯を後先考えずに2杯平らげてしまった。焼き鮭も、トマトも、りんご入りのヨーグルトもマスカットも。何もかもおいしい。生きている感じがする。後何回食べられるんだろうとふと思う。父は、また来るかもしれない私の友人たちの名前を、拡大コピーした結婚式の写真と照らし合わせて覚えようとしている。

友人にもうちの人にも、実家にいる方がずっと元気そうだと言われたけれど、事実そうなのかもしれない。理由を少し考えてみたけれど、やっぱり一番は広さに尽きる気がする。天井の高さがまず違って、閉塞感もない。家だと、周りにたくさんのものが置かれていて、やれていないことばかり思い出す。誰かが作ってくれる食事はやっぱりおいしいし、味も慣れ親しんでいる。

家でも私が動けない分いろいろなことをしてもらっているのに、こんなにわがままで申し訳なくなる。少し動けるようになったら、帰って荷物の整理でもしたいところだ。