祖母の趣味は油絵で、家に行くと廊下に絵が何枚か立てかけてあった。ふわりと絵の具の独特の匂いがしたのを覚えている。どうして、いつから絵を描きはじめたのか、聞こうと思う前に、祖母は認知症になってしまった。
趣味の関係で、たまに絵を描いてみようとする。今日もそんな日だった。当たり前に鍛錬が足りないので、文章を書くのに比べたら圧倒的に苦しい。手足をもがれて水の中でうめいているのに似ている。デジタルだと簡単に戻ることができるのに、こうも思いのままにならないのはいっそ不思議だ。
今回は少しだけがんばってみることにしたので、一部だけでもていねいに描いた。全体を細かくやれるほどの技量と体力はまだないけれど、一箇所でもそれなりに見えると、まあいいかという気がしてくるから不思議だ。
できないことの方が多くて当たり前なのに、絵を描く人は周りに多いからか、なんとかできないかなとつい思う。見れるものを書けるように、少しずつ練習したいものだ。文章だって、たくさん読んで書いてここまできたんだし。