水族館に寄った日

undeva
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公開:2025/7/17

寄ったというか、力強く意志を持って行った。アトアというところだ。ちょっと離れていたけど行けない距離ではなかったし、仕事でもう!と思うことがあったので。20時までやっている水族館、社会人にありがたすぎる。

アーティスティックなところが売りのようで、お値段もそれなりだ。2600円。素描展より高い。でもまあ、しばらくここにも来ないだろうし……とえいっと買ってしまう。こういうのは勢いが大事だ。

中に入ると、たしかに今まで見たことがないタイプの水族館だった。ピラニアの鱗が切り替わるライトが当たって黄金に輝いている。ほんとにこの色なのかなと思いながらしばらく眺めた。次の部屋は打って変わって落ち着いた雰囲気で、チンアナゴたちもゆらゆらと揺れている。近づいたら少し引っ込んで、申し訳ない気持ちになった。ごめん、チンアナゴ。

全体的にデザイン性を重視してシンプルに作られている。キャプションにも、細かな説明はあまり書かれていない。本当に概説くらいのことが数行書いてあるくらいだ。ここではそのくらいがちょうどいいのだろう。それはそれとして、「食べると美味」だとか「生息地域では主な食用魚」だとか書かれているので、生態の方の説明がなかなか入ってこなくて困った。いつだったか、動物園で人は美味しそうという感想を言わないのに、水族館だとよく聞こえてくると聞いた話を思い出す。実際、私も新鮮な魚を見ると美味しそうだと思うことがあるから人のことは言えないけれど。日本人の性なのだろうか。つやつやしたアジなんかが泳いでいると、特段好きなわけでなくともなんとなく美味しそうだと思ってしまっていけない。

3階に上がると本がずらりと並んでいてびっくりした。こんなのもう図書館だ。教えてくれていたらもっと意気揚々ときたのにという気持ちと、サプライズだからこんなに嬉しいんだろうという気持ちで板挟みになりつつ、写真を撮る。ここだけなら、雰囲気は角川武蔵野ミュージアムにも似ている。プロジェクションマッピングで有名なあそこだ。そういえばしばらく行っていないし、あそこにもまた行きたい。

終始おしゃれで、いい感じの照明といい感じの音楽に包まれている。ここに住む魚になりたいかと言われるとちょっと微妙だけれど、体験として貴重なのは間違いない。水槽があんまりきれいなので、どうやって維持しているのか不思議で仕方がなかった。雰囲気が良すぎて、途中ですれ違うのはカップルしかいなかった。

水族館ってやっぱり好きだ。サンシャインには何度か行ったし、鳥羽もよかった。品川のイルカショーは見事だったし、越前松島で触ったミズダコは独特の触感で面白かった。葛西臨海公園は広々していて気持ちよかったし、あのマグロの大迫力はしばらく忘れないだろう。

こうして振り返ると、意外といろいろ足を運んでいる。今度はアクアマリンふくしまに行きたい。いつになるかはわからないけれど、そのうち。

今後、水族館に入れられる生き物は減っていく一方だと聞いた。輸入の規制の問題だ。ラッコのことは有名だし、動物園だとゴリラなんかも実はそうらしい。イルカショーも何かと物議を醸していると聞く。こういう形の水族館をいつまで見られるのかわからないと思うと、ちょっと疲れていても少し遠出をしようかなと思う。今日みたいに。