本が好きな人のブログを読んだので、本の話が書きたくなった。いつだって安直に生きている。赤子を眺めるだけの生活だと、なかなかそれ以外の話がないとも言う。今日の赤子は新生児訪問をご機嫌でこなした後、唐突な不機嫌が訪れたので、私にベビーカーに乗せられて本の返却と書店歩きに付き合わされていた。新刊書で何が出ているのか、何が面陳されているのかを見て回るだけでも、書店ってけっこう楽しい。
閑話休題。そういうわけで、最近趣味の話をする時は、いつも貯金を切り崩しているような心地でいる。その貯金だって限りがあるので、本屋や図書館には衝動が訪れたらすぐ足を運ぶようになった。そう思うと、前よりも活動的にはなったのかもしれない。
本が好きだ。最近SNSで本の伏せて置けるのは読書好きでそうでないのは本好きだ、みたいな言説が流れてきたが、私は本を伏せて置けるタイプの読書と本が好きな人間を自認している。物体としての本も好きなのだけれど、そこに積もった物語がうれしいタイプなので、汚れたりしてもその日の記憶が残ったなと思うと気にならない。嘘だ、コーヒー濡れになった時はさすがに少し落ち込んだ。それでも数日あーあと思うだけの、「きれいな本を所持すること」には頓着のないタイプの人間をやっている。
妊娠してからしばらく、めっきり本が読めなくなった。体調の問題もそうだけれど、圧倒的に集中力と集中して何かをする時間が失われてしまった。本というのがひとつのアイデンティティで、関連する仕事にまで就いていた私にはけっこうなショックで、いつか本が読める日がまたくることをただ信じることしかできないままひたすらに漫画なんかの(比較的)ライトな趣味に時間を費やしていた。まとまった文字をまた読めるようになったのは、けっこう最近のことだ。
読めるようになった今、前よりますます本が好きになった気がする。とても紙の本の頁を繰ることなんてできないので電子書籍頼りだし、引っ越して新しく備えた本棚の本はいまだに整理できていないけれど、本を読むのがやたら楽しい。楽しすぎて、講談社文庫のフェアで12冊も買った。たった今紙の本はとても読めないと言ったばかりなのに、驚きの暴挙だ。
というわけでここ最近楽しかった本の話を少し書いておく。1冊目は『ストーンサークルの殺人』。翻訳書を読む体力がないので敬遠していたシリーズだったけれど、ハヤカワの電子書籍のセールにまんまと乗せられてまんまと楽しんだ。バディものの推理小説ってなんてうれしいんだろう。ちょうど『プロジェクト・ヘイル・メアリー』以降飢えていたのもあって、細切れながらあっという間に読んでしまった。硬派な印象でありつつ、泣かせる最後だった。ハヤカワのセールはまだやっている。このままだと続編もまとめて買ってしまう。誰か止めてほしい。
2冊目は『ちょっと本屋に行ってくる。ブック・タワーズ・メガシティ』。元がブログの連載だったので、いい感じに気が抜けるゆるい書き口で、ひとりの本好きの話をしてくれる。うれしい。私も本を整理しないとなあと改めて思いながら、合間合間に読んでいる。読みやすいし、これが本棚にあるとうれしいので、紙の本でも買いたいかもしれない。
3冊目は『それでも旅に出るカフェ』。いかにも続編らしい名前からわかると思うが、『ときどき旅に出るカフェ』という本の続きだ。世界各国の食べ物を出すカフェが舞台の連作集なので、学生時代に親しんだ外国文化のことも思い起こされて楽しい。とはいえ続編はコロナ禍を描いているので、今は遠くなりつつあるあの日のことを思い返している。私の同輩や後輩には、留学から呼び戻されたりそもそも行けなかったりした人がたくさんいた。
そしてここまで本の話をたくさんしたけれど、最近何かを書くならもっとたくさんのエンタメに触れたいという気持ちもあって、配信されている映画を観たり、webの謎解きを少しやったりしている。最近観た映画は「サンダーボルツ*」。ここからマーベルを少しずつ履修していきたい。謎解きの方はアンティキティラの沈没船というやつで、かなり仕掛けがすごかった。出かけなくてもこんな遊びができる、いい時代だ。
そう思うと意外とエンタメに触れられてるのかもしれない。買った本も読みたいし、文字も書きたいので、時間はいくらあっても足りないのだけれど。子が起きている間はかまっていたいので(最近絵本で泣き止むようになった)、できればたくさん寝てほしい。