読み方を間違えたまま覚えていた、という話題を見るたび、何かを調べながら読んだりしないのかなと思っていたが、調べながら読む人の方が少ないようだと最近気がついた。
知らないままでも、それらしく読める言葉は結構ある。大人になると特に、類推でひとまず読めるものも増えていく。私自身も、あ、これ、読み方違ったなと気がつく経験はたまにある。歳を重ねるにつれ指摘されにくくもなるから、言葉の使い方や読み方が違うものが世に溢れるのも当たり前なのかもしれない。仕事柄、合っていますかと確認したくなることもあるが、仕事以外では黙っておくことにしている。何も、死ぬわけでもないんだし。
それはそれとして、自分の文章にお金をつけて売る人が堂々と使い方を間違えていると、ぞわぞわしてたまらない。少し調べればわかるのに。商品と考えていないとしたって、数分でもう少しいいものになるのにと残念になる。
こんな細かいことばかりが気になることに少し気分が沈んでいたけれど、顔を上げたら何人かがカメラを構えているのに気がついた。何を撮っているんだろうと思ったら、川の上の三日月だった。カメラだと少し明るくなってしまうけれど、空の色はほのかなグラデーションになっていて、月は薄く輝いていて、いい夜かもなと思う日になった。