好きだから期待したい。がっかりしたくないから期待したくない。このふたつのバランスをとるのが、いくつになっても苦手だ。
世界は自分のために回っていないことを知ったのはかなり小さな頃だった。それから大人になるまでの間の方がむしろ、誰にも期待していなかったかもしれない。誰にも期待されてもいなかったから。いくつかの「こう在ってほしい」はあったけれど、それは期待というよりもむしろ、そこで生きていくために達成されてしかるべきものだった(少なくとも私はそう受け取っていた)。褒められることもそれほどなかったから、ただ目に見える成果のために努力していたような気がする。
ある程度の歳になってから、私が一方的に好きだと思っていた人からも好意をもたれていたことを知ったけれど、それもいつなくなるかと不安だった。こうして文字にしてみると、自分のことをきっと好きでいてくれるだろうと思える人に期待をしてしまうんだろう。その塩梅がどうにも難しい。私は期待されたいし、応えたい方だけれど、それでもどのくらい?と聞かれたら答えを出すのはむずかしい。