1.
「公正世界仮説」というものがある。
簡単に言えば「この世界は公正であるはずだ」という願望から生じる認知の歪みである。厳密には歪みの原因だが。
「被害者がなぜ批判されるのか?」
という問題でよく出てくる。
2.
自然に生きていたら自然に幸せになり、自然と楽しく生きられる。
そうであってほしい。しかし、そうではない。
突如として脅かされ、不幸に陥る。そんなことがあってはならない。
だから、なかったことにする。
「被害者が被害に遭ったのは、被害に遭うような状態だったからだ」
「例えば、加害者を刺激するような言動や外見をしていたのだろう」
「被害を受けて当然の理由が存在していたから被害を受けたのだ」
「この世界は公正なのだから、理由なき被害は生まれない」
そういうことにしておこう。そうすれば安心できる。
「公正世界仮説」の悪いところだ。
3.
「発達障害は他者を思いやり、理解することを考えない」
「考えない」と「考えられない」と「考えるのが困難である」には、それぞれ大きな意味合いの差があるが、まあどれでもいい人は多い。
生まれつき他者について考えることが困難な特性の持ち主が存在するということは、何事もなくても問題が起こりうるということである。平和なはずの世界で理由なくトラブルが起こるなど信じたくない。となると。
「意図的に悪質な人間が発達障害なのだ」という結論に至るのかもしれない。
4.
何をどれだけ考えてみても「安心のために他人を捻じ曲げる人たちがいる」ということで話は終わりだ。