私は脱原発に反対である。この狭くて山だらけの日本で再生可能エネルギーだけに頼って発電するのはそもそも不可能だし、かといって火力発電だけに頼るのも、燃料を外国に依存しなければならず、昨今のウクライナ情勢に伴う燃料高のようなリスクと隣り合わせであるからだ。
今年の元日には能登半島で大地震が発生した。その際に志賀原発の変圧器の油が流出して騒ぎになっている。この油自体はもちろん無害だ(と思う)が、流出量を北陸電力が修正したせいで、隠蔽体質が~とか本当に原子力は大丈夫なのか~とか、そんな話をX(旧Twitter)でよく耳にする。
福島原発事故はもう13年前の話になろうとしているが、未だに除染が完了していない地域も存在し、帰宅ができない人が少なくない。それに加えて、除染が完了した地域に住んでいた人の中には、故郷に戻らず避難先や大都市に永住することを決めた人も少なくない。また、福島県に対する風評被害も凄まじいものがあった。原発事故は、言わずもがな周辺地域をめちゃくちゃにする。
対して、いわゆる原発マネーでウハウハの地域も存在する。福井県にはいくつかの原発が存在するが、正直観光資源もなにもないような地域が、電力会社や国の支援金で潤っているのは事実である。
日本が慢性的な電力不足の社会に陥ってしまう未来は間近である。昨今の情勢により、もはや陥っているかもしれない。日本が原発と付き合っていくにはどうすべきか。私は過疎地域に原発を密集させれば良いと思う。日本は高齢化が進み、地方を中心に過疎化が進行している。かつて財政破綻に陥った夕張市などはコンパクトシティ化を掲げ、もはや末端部の支援を切り捨て中心部に人を集めることで、効率的な行政運営を図っている。日本の自治体の中で、原発の立地に必要な臨海部という条件にあてはまる場所には、もはや町として破綻寸前のところもあるだろう。そういった場所に原発を建設すれば、電力事情は少しはましになるだろうし、自治体も支援金で潤い地元住民にも恩恵はある。
その数は僅かなものであるかもしれないが、日本の隅々に人は居住している。過疎地域に住む人々の中には自分の住んでいる場所に原発なんて建ててほしくないという人がいるかも知れない。また、万が一事故が起きたときに危険になる区域に住んでいる人は少なくないかもしれない。そういった人は、事故が起きても安全だと予想される場所に引っ越してもらえば良い。
そんなことが許されるのだろうか。もちろん許されなければならない。なぜなら日本のインフラはその連続で成り立っているからである。高速道路が通るとなればその沿線の人々は立ち退きを要求される。ダムに至っては村まるごと湖の底に沈められる。立ち退きが必要な規模は異なるかもしれない。しかし過疎化が叫ばれてる現代社会なら、大都会でもない限り、住む場所ならいくらでもある。
もちろん、十分な保証は必要である。たとえ国のためとはいえ故郷を奪うにはそれ相応の対価が当然必要だ。
日本の過疎地域では高齢化が進みに進んだ結果、人口がみるみる減少している。後20年もすれば決して少なくない自治体が成り立たなくなるだろう。そのタイミングがチャンスなのかもしれない。日本を作り直すチャンスである。