GはゴキブリのGです。だから嫌いな人は今すぐバックオーライだ。
といっても最終的に「先生」の話に落ち着く。
中学の頃の話だ。まあ、いろいろ省くがいじめられっ子の友人の机を掃除の時間に移動させたら中からGの死骸が出てきた。その子はたまたまその日休んでいた。いまだに「あの日あいつ休んでてよかったな」と思う。
中学1年生である。そりゃGが平気って子もあまりいない。
が、私は死骸なら、動いていさえしなければ割とどうでもいいタイプであった。そしてその机は当時私の一番仲の良い友達の机だった。何とかしてやらなきゃ、というか多少ヒロイックに「私の友達になにしてくれてんの」と思った記憶がある。
そこらへんに落ちていた牛乳瓶をくるんでいた薄紫のセロファンで触角の先をつまみ上げゴミ箱にダンクシュートである。
その時担任の先生が「よかったー!ありがとうどうしようかと思った!」といったのを鮮明に覚えている。おそらく大学を出たての若い女性の先生だった。
そりゃ、この場で誰も手を出せなかったら「先生なんとかして」って言われるのは大体目に見えている。そして先生だって虫が苦手なことはある。子供の頃というのは先生は、あるいは大人は万能であるというイメージが多かれ少なかれあると思う。
「あ、そうか、先生も虫が苦手だったりするんだ」と思った。ていうかまあGは大体の人が苦手だが。
だれしも大人が思っていたほど大人じゃないことに気づく瞬間があると思うが、それが私にとってのその瞬間だったな、と思う。