ガザのジェノサイド(ジェノサイドだよ)が起きてから注目されている作品でもあり、別に今更私が紹介するほどのこともなく、ただぽつぽつと「太陽の男たち」の話をしようと思う(良い紹介文は多分ほかに一杯あります)
作者のG・カナファーニーはパレスチナに生まれ、第一次中東戦争の時に故郷を追われて難民となった。パレスチナ解放運動で重要な役割を果たすが、36歳のときに自動車に仕掛けられた爆弾で爆殺されている。
「太陽の男たち」はイラクのバスラからクウェートに密入国を図った男たちの話だ。イスラエル軍によって故郷から追放された彼らにとって貧困から逃れる数少ない手段がクウェートで出稼ぎし、家族に送金することであった。
水を輸送するタンクに隠れて、国境をすり抜ける。タンクは熱を遮断してはくれないどころか蒸し風呂のようになる金属のタンクなのだから、砂漠の炎天下の中では5分も入っていれば死んでしまう。だから国境を抜ける手続きをするわずかの間だけ、タンクに入る。
運転する男は言う。大丈夫、俺は顔パスみたいなもんだから、そんなに時間はかからない。彼らは無事に国境を抜けられるのか。
なるほど、映画になったというが映画になりそうな話だ。
どうなったのかは言わないのでまあよかったら読んでみてください。
私には最後の叫び、「なぜだ」というあの叫びが、すべて人類が有史以来発してきた答えの得られぬ「何故」を代表しているような気がしている。
神よ何故沈黙したまうのか。何故このようなことが起きてしまうのか。何故、世界はジェノサイドを止められないのか。何故。
答えるものはいない。