正直勘弁してくれと思った。ショックとかではなく、なんてことしてくれやがった、という感じだった。不倫が事実かどうかはこちらには確かめようもないし、人となりで応援しているわけではないのでそこに起因するダメージではない。ただ、この先彼が出演していた大好きな作品を見返したりメディアで彼の姿を目にするたびに「この人不倫疑惑ですっぱ抜かれたんだよなぁ……」という邪念が必ず入ってくる状態に他ならぬ彼自身がしたということが許し難い。事務所が出したコメントの通り、仮に不倫が誤解だったとしても、こうした行動(他人が見ればただならぬ関係だとジャッジしてしまうような振る舞い)そのものが問題で、これは職業倫理の話であるように思う。
こうした醜聞が発覚した時、ここぞとばかりに強い言葉を吐くのは大抵ファンでもなんでもない人間で、それを見聞きして傷つくのはファンの方だ。庇うような発言を「信者ガー」と嘲笑されるのも、好きな作品を今までと同じ気持ちで見ることができなくなってしまったのも、名前を挙げて応援することを躊躇わなければいけなくなったのも、全部ファンである。そのことを、彼はわかっているのだろうか。わかっていないから、今こういうことになっているのではないか。身も蓋もない言い方をすれば、私は客だ。浅瀬に浮いているくらいではあるが、彼のファンクラブに課金し、本やらグッズやらチケットやらを買っている。そのへんの暴言を浴びせたいだけの連中よりは、主張する権利があるはずだ。
「あんな奴に推されて恥ずかしくないのかよ」と言われないよう努めるから、「あんな奴を推して恥ずかしくないのかよ」と言われないよう努めてほしい、と思うのは我儘だろうか。
演じたキャラクターや出演した作品に影を落とさないというのは、プロとして最低限の誠意ではないのか。虚構の物語を楽しみたいのにそこに現実世界のノイズが混じっては興醒めしてしまう。これを言うのも虚しいが、いい年した大人が介抱が要るくらい飲んで潰れるべきじゃない。お酒に弱い自覚があるなら尚更だ。40に見えないのは顔だけにしてくれ頼む。
私は彼がいなければ成立しない某ドラマの続編を切に願っている。彼が演じたあのキャラクターの人生の続きを見たいと祈っている。だが、もし続編が決まったとしても私は諸手を挙げて喜ぶことはできないのだろうと思う。そういう状態にさせられたことが悲しく残念でならない。