人と会った後って必ず死にたくなる。それがどれだけ楽しくても、いや寧ろ楽しければ楽しいほど、かもしれないが、心臓の裏側に死にたさが貼り付いて鼓動を早める。肉体が妙に興奮して、神経が尖ってゾワゾワする。意味もなく外に出て駆け出したくなる感覚。むしゃくしゃして、なにかを滅茶苦茶に握り潰して破かないとすっきりしない蟠り。もう終わらなきゃ、みたいな焦燥感。ドキドキして、早く、早く、と思う。そういう感情・感覚に支配される。これはなんなんだろう。ほかの人もこれに襲われているんだろうか。同じだよ、という人がいたら教えてほしいし、話したい。
今日は「落下の解剖学」という映画を観た。フランスから来たその映画は152分もあって、けれど不思議と疲れを感じずにするっと観ることができた。所謂フランス映画を初めて観たけど、性に合っているのかもしれない。
三人家族の父親が転落死。被疑者になり得る人物は母親だけ、事件の証人となるのは目の見えない息子だけ、という予告を目にし、サスペンスだと思って観に行ったけれど、違ったみたいだ。事件そのものの解決よりも、もっと別なものを大事にしていた。鑑賞後、レビューサイトにてヒューマンドラマという評を見て、納得した。ああ確かにそうかも、と。一緒に観に行った友達は、寝ないでこの日を迎えたそうで(理由は聞きそびれた)、観てる時に寝ちゃうんじゃない?という冗談は果たして真実になってしまった。上映中ほとんど眠っていた彼女はとても要領のいいひとで、映画の内容も要所だけはしっかり押さえていた。要領のいい人間は居眠りも上手にやるのか、と思って、面白かった。