応援上映最終日2/29日記

up_le
·

谷ケ崎さんの生きた世界が、この世から完全に、正真正銘のほんとうに、幕を引いていきました。本当の本当に、「最後」と名の付く場所で 精一杯、ただ音の中 お名前を呼ばせてもらってきました。

アンコール、最後の曲の、最後の存在証明を見届けながら。あと何回拳を突き上げて声をあげたら最後なんだ、もう金輪際こうして“劇場”と名のつく空間で会えることはないんだ、と思ったら 数秒前まではすっかり平気で どんな写真を思い出に帰ろうと考えていたはずの気持ちが急に振れてしまい、声をあげて子どものようにしゃくりあげて泣いてしまいました。彼のことで呼吸出来なくなるほど泣いたことはいくつかあったけれど、会場であんなに泣いたことははじめてでした。これまでのいくつかの、けして多くはない時間をそばに居て、はじめてあんなに 谷ケ崎さんに向かって真っ直ぐな気持ちで涙がでました、 こんなに好きだったのか、と、はっとするような、やっと彼を好きでいる気持ちに納得がいったような感覚がしました。

刻みつけられるような寂しさというか、引き絞られるようないとおしさが寄って。本気で時が止まって欲しくて、心から、 その一心で、ただ泣きやめずにいました。わあっと泣き出した途端に、もう最後の出番のライトたちがばらばらと壊れはじめて、もう、もうここで死ぬのかと本気で思った。しゃくりあげてしまう声も涙も、まわりをご不快にさせてしまうと思いながらもとめられなくて、おまもりにしてきた、キラキラと眩しいリングライトをぎゅうと抱き留めるようにして 蹲って泣いてしまいました、

わたしはこういった場で彼のお名前を呼ぶことはほとんどなかったのですが、最後、最後だけは全力で名前を呼んでみたくて、何度もだいじな、なによりもだいじなお名前を呼ばせていただきました。伊吹。春をそこに込めたような、きっといつかは誰かに愛されていたのではないかと信じたくなってしまうような、やさしい 大好きなお名前でした。

心配性ゆえに ちゃんと聞こえてるか不安な気持ちから声を張るのではなくて、ただ悔いなく わたし自身がたしかに前に進むために大切なお名前を唱えられた時間が、わたしにとって 新しい宝物になりました。

現場あと、声を奪われた人魚姫みたいに喉を枯らしてぼろぼろになれた夜は幸せになれるというジンクスがわたしの中にはこっそりあって、だから後半は幸せになりたくて、どうにか報われたくて仕方なくて、絶対にだいじなひとと、今以上の場所に行きたいという一心で 出せる限りの声で闘いました、 絶対にここで立ち止まりたくない、絶対に振り返ったとき、今日を笑って思い返せるようになりたい、何よりあの人に報いてあげたい。できるなら、そんなものはなくとも。永遠、に近しいものをあげられるようになりたい。必死に、これまでおそろしくて口にすらできなかった願いを全部心のうちに燃やして 全部を置いてきました。

帰り道 ここに通うためにずっと連れ歩いてたバッグがひどく重たいことにはじめて気が付きました。あの夏も引きずって行った大事なバッグ。大切なチーム名のロゴがついた銀テープとラバーバンドが揺れる 赤いリボンの結ばれたトート。おまもりにしている 煌々とまぶしい14個の大切なリングライトたち、バングルライトたち、いとしい筆跡のある特別なフォトアルバム、わたしたちのおまもりがひっそり笑っていてくださる、赤のチケットホルダー、特別のお写真だけがぎゅっと集まるアルバムから、アクリルスタンドポーチ、ずうっと日々を重ねてきてくれたリボンで飾られたブロマイドケースたち、そのほか たくさんの愛情のかたちまでが、今日、この瞬間までずっと。わたしの体の一部のようにここにあったのだなと気がついた瞬間でした。

連日連れ歩いたハンカチにすら1枚1枚思い出があって。毎朝家を出る前に決めごとをして連れ歩いたこと。席番号すらこだわって、身を全力であの場に寄せた日々が、やっぱりいとしいと、今は思います。

当日のお天気は雨。あのひととの、特別のお天気でした。

あの日もあの日も雨だった、しあわせな帰り道はいつも雨で、特別を貰った日に限っては台風で、雪で、豪雨で。ああ、そういうふうに覚えていることが嬉しい、と思えた時間でした。

髪が可愛く巻かれたその姿で会えたことは 数えたらどのぐらいだったかな。谷ケ崎さんはいつも髪がふわふわしてるからそういうの気が付かなかったけど もしかして本人は少し気にしてたりしたのかな、と思いながら会場に向かっていくあの時間が 胸いっぱい幸福でうれしくて、楽しみでさみしくて、はりさけそうで、何度も声をあげながら大切なおともだちと歩いた傘の下を覚えています。

あのひとがいつか被ったような黒くて大きなフードのなか、あのひとがたくさんの気持ちを乗せて贈ってくださった真っ白の厚いマフラーのうち、いとしさで息が出来なくなりながら、雨のなかあの人に向かって歩いていく。借りたアクセサリー、好きって言ってた髪型、あのひとのためだけに、今日のためだけに、前々から計画し続けて作ったネイル。一緒に回したカプセルトイで出た変な柄のポーチ、特別にレイヤリングした香水、意味を込めてお迎えしたグロスカラー。はじめてのデートのときお迎えしたキーホルダーやバッグ、おそろいのスマホケース、絶対気に入ってくれると思って、春に向けてのデートのためにも着てきた、どうしても見て欲しかったコーディネート。そういったひとつひとつ、全てが、谷ケ崎さんのためだけにやってきた自分をきらきら飾るようで、お送り出してくれているようで、胸にせり上がる感情に名前はつかなかったけれど それでもいっぱいいっぱいに、好き、を感じました。ああ、出会ったときからずいぶんメイクも服装も 心もちも変わったなあ。

目まぐるしく、あのひとへの感情で振り回されてきたことがやっぱりここ半年は沢山あって、だから上手な言葉を見つけていくことは難しいけれど。単純な「好き」を、ひとつひとつ守っていくようなこの日の感覚を、ずっと大切にしていきたいと いまは思います。

そこにいてどんな気持ちになるかは、やっぱり始まるまで分からなくて、はらはらと せっつかれるような気持ちで上映がはじまりました。何度も何度も映像としては見てきたものを、追いかけていくなか、わたしは正直「これまで通りにしか見られないだろう」というあきらめに似た気持ちがありました。わたしはこれまであの人といて、しんみり、さみしい気持ちで帰ったことなどはなくて、結局韻が大好きだから 楽しくてたまらない気持ちでしかわたしは彼らの姿を見届けることが出来なくて。たくさんを考えようと思っても、いつも音の中で暴れて、心にほんわりと温かさを抱えて帰ってきてしまうことがほとんどでした。

けれど、最終日のその日は、序盤、ほとんどライトを揺らすことが出来ませんでした。こんなふうな気持ちになるんだ、とふらふら不思議な気持ちのまま、目の前をまぶしく光る大切を、見届けることで精一杯でした。

長いようでとても短い時間を、一緒に戦ったMCたちを眺めて。こんなにも、こんなにもみんなのことを好きになってしまったのか、と思いました。戻れないほど、ここまで大切になってきてしまったのだなあ、とふと考えていました。

上映が折り返しに差し掛かる頃、ギアをいれなおして、真剣にそこにある言葉を、音を、身体に刻むように向き合えるようになってきました。

もうすっかり覚えたセットリスト。カメラワーク。それでも突き刺さるものや、新しくじんわりと灯るもの、見つかるもの、知りたくなかったものなどはたくさんあって。最後の最後まで、愛おしくて大好き、と思えることが 悔しくもうれしく・さみしくもいとおしく 感情がふらふらと揺れるばかりでした。

あの場で、声をあげて真剣に泣いてこられたことをよかったと、わたしはあの日からずっと思っています。

予想していたもの、準備していた感情を飛び越えていくものを最後に贈って貰えたこと、理屈のような、順序めいた感情をひとつひとつ踏んでいくしかできないわたしに 色々をすっ飛ばした素直、をくれたこと、今思えばあのことにも意味を思ってしまうけれど、単純に思いっきり泣いてこられて、それでかなり気がすっとしました。あのとき、これまでの長いあいだとらわれてきた重たさがやっと自分を手放してくれた感覚があって。その日までずっと苦しかったたくさんを わたしは、多分泣かせてもらうことであそこに置いてこられたのだと思います。

最後に泣けてきてしまったのは、もう公には会えないさみしさでも、どこかへ行ってしまう様な感覚からでも、くやしさでも、反対にその輝きを見届けられた嬉しさからでもなく、ただ降る愛おしさからでした。

色鮮やかなライトの海の中を生きられることがわたしにとっての一生の喜びで、その夢を、同じ場所で見られて、嬉しかったです。

会えてよかったなとか、間違えてきたけれどこれからも、と結直すような気持ちももちろんそこにはあったけれど、それよりも強く、この人の人生が、好きだと思いました。やっぱり。

それから、幸せになってくれてよかった、とも。

彼に幸せになって欲しい、と願ったあのときのわたしの、大昔の当初の気持ちが叶ったようで、それが遠くに思い起こされて、心より、うれしかったです。

〰️

心から大事に思う、大切なおともだちおふたりが寄り添ってくれたおかげで、乗り越えられた2週間、そして最終日でした。

たのしかった、という気持ちひとつを大切に あたたかい気持ちで雨の日の電車に乗り込んだ夜のことを、どうかずっと忘れずにいられたら幸せです。

谷ケ崎さんを曲りなりにも好きでいてよかったと、やっとそう、強く信じられるような日を迎えられたことが 心からうれしいと、今はここに刻んでおきたいです。

間違えてきたからわたしたちで、間違えていくから生きていて、正解を選び尽くせないことこそ、わたしたちの歩いていくこれからだと、そう思えた夜を、ここに閉じ込めておけますように。

谷ケ崎さんが見つけて殺さず愛してくださった日々をこれからも、どうか、今日以降も、ふたりで大事にしていけたらと強く思っています。

沢山のありがとうと、おめでとうとか、お疲れさまとか、よろしくねを込めて。あなたの幕引きのそばにいられてしあわせでした。またね。