2026/05/04 十戒

たーんえー
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公開:2026/5/4

夕木春央氏の小説『十戒』を読んだ。めちゃめちゃ面白かった……

ジャンルとしてはいわゆる孤島ミステリで、島にやってきた9人の間で殺人事件が発生する。通常ならここで犯人が誰かを探し当てる流れになるが、この作品は「犯人によって捜査や推理が禁止されている」というのが大きな特徴だ。犯人は人々に守るべき「十戒」を提示し、これを守らなければ爆弾(!?)で島ごと引き飛ばす、というのだ。実際に爆弾は見つかっていて犯人の脅しを嘘と言える否定できる根拠はなく、人々は指示を守って島を出ずに3日間を過ごさなくてはならなくなる。

犯人は誰が犯人かわからないように指示をしてくるし、逆に他の人々もうっかり犯人が誰かを知らないように動く(知ったら島ごと爆破されて道連れになるので)という状況が普通と違って面白い。外部と連絡を取る際には全員から見えるようにしたり、全員に同じ手順を取らせることで間接的に犯人の意思を確認したり。こういった細かい手順も(ちょっと込み入り過ぎてる感もあるが)なかなか興味深い。犯人に逆らったら命はないという状況で、そもそも本当に3日間で出られるのかも不明であり、段々と人々は疲弊していく。

島の所有者は既に他界していて、その姪に当たるのが主人公。彼女は父や叔父(島の所有者)の知人らと共に島にやってくる。彼女は人見知りかつ浪人中でナーバスな中、一緒に島に来ていた綾川さんに話し掛けられ、心を開いていく。この主人公と綾川さんの関係性(女女関係)が地味に良いんですよね……主人公は受け身で指示に従うしかないのだが、綾川さんが案外鋭くて、いわゆる探偵役だ。

なかなかないシチュエーションが面白くてどんどん読み進めていたのだが、ラストはかなり唸らされてしまった(何かあるだろうとは予想していたんだけども)。以前同著者の『方舟』も読んでそちらも面白かったのだが、読後感や過程はこちらの方がかなり好きだな〜という感想。読む順番的にもこれでベストだった。著者の他の作品も読んでいきたいな……