2026/07/13 スカウト・デイズ

たーんえー
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公開:2026/7/13

小説『スカウト・デイズ』を読んだ。プロ野球のスカウトを題材とした小説だ。

スカウトの方の仕事は大きく表に出てくるわけではないものの、記事などで見かけることがしばしばある。最近だとドラフト会議の舞台裏を公式動画として上げてくれる球団(巨人阪神楽天など)もあるので、贔屓の球団のものでなくともそういう動画を見るのは面白い。

一般のファンとしてドラフト会議を見ていると「あの選手残ってるんだから取ればいいのに」「なぜあの球団はあの選手を上位で取らなかったのか」と素朴に思ったりする。だが、スカウトの仕事はただいい選手を見つけてくるだけではない。特に有力な選手ほど本人や監督、両親に事前にある程度話を通しておき、指名した場合に入団してくれることを確認しておく(場合によってはうまく説得する)必要があるとされている。順位縛りや、近年だとポスティングの希望によって入団拒否されるケースがあり得るし、そうなるとその順位の指名権を無駄にすることになるからだ。

さて近年では編成担当やスカウトの仕事もだいぶクリーンになったと信じているが、数十年前はもっとグレー、あるいは真っ黒な手段を使って有力選手を"確実に"指名し入団させようという動きがあったことが知られている。最も有名なのは、「球界の寝業師」とまで呼ばれた根本陸夫氏だろう。この小説もそうした時代、あるいはそこから少し現代に近づいた時代が舞台となっている。(根本氏がモデルかもしれない)1人の怪物スカウト・堂神に焦点を当て、周囲の様々な人物を通してその人物を掘り下げていくような群像劇的な物語だ。

本作では同球団やライバル球団のスカウト、指名対象の選手はもちろん、そのチームの監督やチームメイト、両親、更には新聞記者やスカウトの行きつけの店の店員まで、スカウティングに関わる多くの人物が登場する。その面で、フィクションといえども一定以上のリアリティを感じさせるものになっていた。著者は元々はサンケイスポーツの記者とのことなので、その経験が大いに生きているのだと思う。

物語としても、急に別の球団に気持ちを変えた選手や、身体に異常はないのに投げたがらない投手など、不可解な出来事の謎(誰がどう糸を引いているのか)を突き止めていく形になっていて、なかなかに先が気になる展開で読み応えがあった。とはいえ前述のように、かなりグレーな描き方をしているのでそこはだいぶ好みが分かれそうだ(あくまでフェアな競技としてのプロ野球が好きという意見もあるだろう)。自分は楽しめたが、あくまでフィクションとして捉えれば、ではある。続編もあるみたいなので、そちらも読んでみたいね。