2026/02/19 CURE

たーんえー
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公開:2026/2/20

黒沢清監督の映画『CURE』を観た。

別々の犯人によって行われる、同じ手口の猟奇殺人事件の謎を追う刑事の話。ジャンルとしてはサイコスリラー、サスペンス辺り。

殺人の場面が前触れなく、日常の延長のようにあっさりと描かれるのが大きな特徴。序盤から楽し気な劇伴と共に急に行われる殺人が定点カメラで映され、中々にインパクトがある。長回しのショットが多めで、何気ない描写もいつ何が起こるかわからずにドキドキしながら見てしまったな。

事件は断片的に描かれていくのだが、毎度その周辺にいるのが記憶障害の男だ。主人公の刑事は捜査を進めていき、催眠暗示的な手法が使われていると推測する。実際男のその手法が少しずつ明らかになっていくのだが、主人公たちは男を捕らえることに成功する。しかし、ここからがこの話の本番だった。

序盤から、主人公の妻は精神病院に通っており、主人公が気を遣う様子が描かれていた。捜査を進めていたある時主人公は妻の身を案じて家に戻ると、なんとそこには自害した妻の姿があった。すぐにこれが幻だったとわかって、なあんだとこの時自分も思ったのだが、犯人の男には、事件の対応と妻の世話とで疲弊した彼自身の願望だと言い当てられる。恐ろしいはずの映像が実は望んでいたもので、その願望の方が恐ろしいものだった、と後からわかる構造で上手いと思った。

そうして「CURE」というタイトルの意味も段々わかってくる。元々は男を指した「伝道師」というタイトルで、時勢(オウム真理教事件)もあって変更されたそうなのだが、最後まで見ると「CURE」で良かったなと思う。不気味で後味の悪い、いい作品だった。

実は自分はたまたま概要やラストシーンを知った状態で視聴したのだが、ストーリーというよりは実際の映像を観ることが大事な作品なので、全く問題なく楽しめたな。今期のTVアニメ『死亡遊戯で飯を食う。』1話に関して上野監督からも言及されていた作品でもあるが、確かに通ずるところはあると感じた。