今日は、公開中の映画『ひつじ探偵団』を見てきた。面白かったな~
主人公は牧場で飼われた羊たち。愛する飼い主が殺害され、警察も頼りにならない中、事件解決に向けて羊たちが動き出す!という話。
ミステリを描く難しさの1つにとして「警察が解決できない事件をどう用意するのか」があると思うが、今回の村では人手不足で、捜査のセオリーも知らない巡査1人しかいない大胆な設定。そんな未熟な巡査を、羊たちが読み聞かされた推理小説の知識だけで捜査しサポートするという、何もかもが手探りな感じで新鮮な楽しさがあった。立ち位置的には『名探偵コナン』の小五郎おじさんとコナンくんが近いかもしれない(羊たちはコナンくんほど現実の事件の推理には慣れていないわけだが)。
前述の通り羊たちは推理小説についての理解はあるものの、現実の多くのことを知らず、そもそも牧場の外に出たことすらない。2匹の賢い羊すら、目の前の道路に一歩踏み出すことに大きく躊躇してしまう。そこに通りすがりの鶏が平然とトコトコ歩いていくシーンなんかは、だいぶシュールで良かった。
羊たちは、悲しい出来事に出会うと、1、2、3でそれを記憶から消すことができる。それによって楽しく穏やかに生きることができていて、ある意味では幸せである。しかしきっとこれは羊だけの話ではなくて、我々も理解しやすいもの、都合のいいものだけに目を向けていないかと問いかけられているように思った。記憶を消すことができない一匹の羊の存在もよく効いている。そして悲しくて目を逸らしたい事実も、時に我々の助けになってくれることも描かれていくのが、すごくいい。
「冬生まれの羊」が、羊の群れの中で謂れ無き差別を受けているという描写もある。実際自然界でも動物同士でいじめがあったりするので、まあ羊の中ではそうなのかと一旦は流してしまうが、物語が進むにつれてそこにもしっかりと向き合ってくる。羊も巡査もそうだが、設定でハードルを下げさせて、そこからの歩みはしっかりと描くのがお見事。
ミステリとしてもよくできているし、羊たちのやり取りもコミカルで可愛らしく、風刺も効いているので誰にでも勧めやすい作品だ。羊たちが喋るのがメインならアニメみたいなものだろう(?)と思い吹替で見たのだけど、重要な立ち位置の冬の⼦⽺役が橘杏咲さんで👍。