ViVid Strike!
『Extreme Hearts』にハマってから、いつかは観ておきたいな~と思っていた作品。今日、面白すぎて9話から最後まで一気に観てしまった。いや~良かったね。
『魔法少女リリカルなのは』シリーズの一作ではあるんだけど、主役級の2人、フーカとリンネが今作からのキャラクターなので、なのは未履修の自分としてもかなり入りやすかった。前作ViVidでは高町ヴィヴィオとアインハルトさんがメインキャラだったんだろうな~というのは察せたし、なのはシリーズを少し観てみたくもなったな。
本作の大きな特徴は、見所のある格闘戦だろう。格闘技として攻防がしっかり描かれ、また一撃一撃の重みが容赦なく(痣や流血として)表現される。キャラクターごとに戦闘スタイルが異なっているのも良い。幼少期は小さな少女だったリンネは、パワー型の選手として才能を見出される。持ち前のパワーにタフさを加えたその戦闘スタイルは、相手の攻撃を受けつつも耐えきり強烈な一撃でひっくり返すというもの。リンネが強さを求めるに至った理由を踏まえて観ると、攻撃を受け続ける彼女の姿は痛々しく、どこか自分を罰しているようにも見えてしまった。
リンネのようなパワーやタフさを持たない代わりに回避と打撃の精密さに優れるのが高町ヴィヴィオで、中盤にあるこの二人の試合が非常に良かった。リンネから見ると高町ヴィヴィオは生まれにも周りにも恵まれて何一つ苦労せず過ごしてきたお嬢様のように見えているのだけど、そうではないことは今作から観ても察することができる。それはリンネがどれほど周りが見えていない状態であるかを表してもいるだろう。ヴィヴィオの習得したスイッチ(左右の構えの反転)で現れるのは、この競技に強い思いを賭けて望んでいる、リンネの想像とは異なるもう一面のヴィヴィオと言えるかもしれない。だとしたら、そんなヴィヴィオを想像もしなかったリンネがそのスタイルに対応できなかったのは、当然の帰結だったように思う。
また、終盤3話掛けて描かれた主人公フーカとリンネの一騎打ちももちろん良かった。時間無制限な試合なこともあり作中でもしっかりと時間が経過して、途中で雨が降り、やがてその雨が上がっていく。雨の中すれ違った思いのまま殴り合う二人の姿は、作中でも言われていたように辛そうに見える。しかし、試合が進みやがて意識も朦朧としてくると、競技者として目の前の攻防に集中し始める。「気持ちがすれ違って殴り合うのは辛いけど、夢中になって全力で競い合うならそれは凄く楽しいことですから」が印象的。作中でリンネはずっと辛そうに描かれていたし、格闘技をしていて楽しいことなんてなかったと自分でも語っていた。しかし極限の状況に追い込まれたことで訓練の成果が発揮されて「自分が格闘技を楽しんでいたこともあった」のを思い出す。リンネは理不尽に対して強さを得るために格闘技を始めたが、それは嫌な出来事から気を紛らわすために力を振るう(言ってみれば暴力)という側面もあっただろう。しかし、これは「競技」なのだ。暴力なら一人でも振るえるが、競技には支えてくれるコーチやスタッフがいるし、対戦相手の競技者がいるし、大会の運営や観客もいる。ヴィヴィオやフーカを周囲に恵まれていると考え自分は一人でも戦えるくらい強くなろうと考えていたリンネだったが、彼女も競技を通じて周囲と関わり支えられていた、と気付くのだ。「拳で語り合う」とはよく使われる表現だけど、本作はそれを体現した作品だろう。
他にも、最終話が丸々エピローグに割かれているのも良かった。結果は重要だが、過程に意味がないことはない、という言葉。アインハルトさんのベルトを目指して得られなかったリンネは、ベルトなんかより大事なものを得ただろう。キャラクター数は(前作から続投っぽいキャラも含め)多くて把握しきれていないが、競技を中心として周囲と関わっていくような描き方は結構『Extreme Hearts』とも共通している気もした。所々のちょっと嬉しい表現みたいなところも。
アインハルトさんが昔やんちゃしてたけど今はフーカの良い師匠、みたいな立ち位置も結構好きだ。ピッコロさんとか、『BORUTO』におけるサスケを感じる(この喩えがあってるかは知らないが)。OP、EDもかなり良い。特にOPのFuture Strikeの歌い出しは完璧。EDはアレンジ(?)されて劇中でも流れていて、6話なんかは活路を見出してEDに入るかと思いきや、やられてしまい音も途絶える、という演出もあって良かった。
キンスパのために観たわけではないのだけど、たまたまキンスパ2日目の前日に完走できたから、EDのStarry Wishが聴けたら嬉しいな~。事前のプレイリストには入ってて、1日目に披露されていないのでそこそこ勝算はあるはず。