来月シャニマスのxRライブ「283 Production LIVE Performance Uka」に行く予定なのもあって、最近はイルミネーションスターズを中心に過去のイベントシナリオを少しずつ読んでいる。当時普通にイベントをプレイしていたり、時々行われたイベントシナリオ全開放の時期に読んでいたものもあるが、数年前だと記憶も曖昧なので再度読み返すことにしている。
そんな中で今回読んだイルミネのイベントシナリオ『くもりガラスの銀曜日』が非常に良かったので、軽く感想を書いておく。この前後の『薄桃色にこんがらがって』『天塵』『アジェンダ283』辺りは当時読んでいたので実はこれも既に読んだ可能性はあるが、記憶にはなかった。当時は2020年初頭でボイスが未収録だったらしく、ボイスが付いてから読もうと思ってそのままにしてしまった気もする。
さてこのシナリオは、イルミネーションスターズのこれまでの歩みを連作短編として振り返る形式になっている。過去から時間を飛び、対比される3人の関係性の変化を見つめていくわけだ。ただ順番に遡るのではなく時間は前後したりするので、お互いの呼称や距離感、事実関係から時間軸を推測するおもしろさもあるシナリオだった。
3人の過去のやり取りでは、誰かの台詞に対する「○○、詳しいの?」「もっと、教えてね」といった台詞が反復されていく。そうした一つ一つの会話からお互いのことをゆっくりと知っていき、今ではお互いのことを言い当てるような関係になったというわけだ。それは作中で3人が過ごした時間の濃密さを感じさせるし、あのお互いのことを何でもわかっているんじゃないか、と外から言及されたりもする。
3人の共有していることの一例として出てくるのが、タイトルにある「銀曜日」だ。聞きなれない単語だが、これ自体は何のことない金曜日の打ち間違い。しかしこの単なる打ち間違いの少し後の出来事から、特別な意味を持った単語となっていく。本作が「シャイニーカラーズ」であることを踏まえると、金とは少し違った銀の色を使って特別さを表現するのは"らしさ"があるなぁと思った。
しかし外からお互いを全て知っているように見えても(当然ながら)実際に全て知っているというわけではない。タイトルにあるもう一つの単語「くもりガラス」はその比喩として使われるものだ。作中に登場するある店の窓のガラスのことなのだが、錆びていて開けられず、色だけがぼんやり見える。そして外の景色が変わると、くもりガラスに映る色も変わって行く。このくもりガラスを開けて外の景色を見てしまえば、そこに「答え」(ここではおそらく、お互いの内面全て)があるのかもしれない。でも現実にそんなことはできないし、すべきでもないのだろう。開けなくていいのかと問われた風野灯織さんが「くもりガラスの向こうを見たいって そう、思い続けていたいから」と返した場面は、非常に印象に残った。
これは人と人の関係に限らず、何事にも当てはまる話ではないか。作品でも、学問でも何でも、知り続けたところで全てを知ることはできない。これから先も、知らないことはいくらでも出てくるだろう。それでも「知ろう」という意志を持ち続けることこそが重要であるのだ、きっと。
これまでとこれからを描いていく中で、これまでの何気ないあれこれがふとした瞬間繋がって行く様子が描かれたシナリオでもあった。途中流れる「トライアングル」の歌詞がまさに、このイベントシナリオの内容を象徴しているようだった。
キミの好きなこと したいこと まるごと知りたいよ 教えてね 点と点と点が繋がって星座がまたたくの