
思いのほか生物学の話は少なくて、ゲーム理論や動物行動学の話がメインだった。
本書の良さは、利己的であることを認めたうえで、利他主義を語っているところ。
個体が消えても自己複製子(遺伝子とミーム)は残り続けるという視点もおもしろかった。
遺伝子は傾向を定めるもの
遺伝子は、環境を変数として処理する関数を定義しているだけで、行動そのものを決定しているわけではない。
特定の行動が起こるかどうかは確率的であり、条件が揃わなければ発現しない。
ドーキンスの文章を読んでいると「遺伝子が自分を操っている」と受けとりそうになる。「遺伝子が傾向性を定めている」と捉えるほうが正確なはずだけど、誤解されやすそう。
利他について
本書では「利他」をこう定義している。した側の生存率が下がり、受け取った側の生存率が上がる行為のこと。
利他的に見える行為の多くは、遺伝子のコピーを守るための合理的な計算として説明できる。緑ひげ効果・血縁淘汰説・互恵的利他主義・ハンディキャップ原理などがそれにあたる。
一方、見返りを求めない利他は、遺伝子の計算では説明がつかない。ドーキンスはその理由として、別の個体による操作・脳のミス・ミーム・人間の意志による選択という可能性を挙げている。
この本からすれば、わたしがネコをかわいがっているのは、「ネコに保護本能をハックされて操られているから」ということになる。だとしても、かわいいからいいやって思う。