MUJI BOOKS・『役にたたない日々』

ure
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無印良品が本を出しているのを知った

美容院で『人と物2 花森 安治』を読ませてもらった。さらっと読めて素晴らしい。

『100万回生きたねこ』の作者である佐野洋子さんの本もある。この方のエッセイが好きで一時期はまっていた。

絵本作家なのでほんわかした人なのかと思って読んでみると、笑っちゃうほど口が悪い。

パンがなかったので、コーヒー屋に朝めしを食いに行く。歩いて二分でついた。

金さえ出せば朝めしが食える都会はすごい。セルフサービスのトレーを持ってソロソロとつきあたりまで歩いた。一つだけ小さいテーブルがあいていた。壁を背にして六個くらいのテーブルがあった。タバコに火をつけて壁を背にしている人達を見回した。全部女だった。全部ババアだった。四人はスパスパ、タバコをすっていた。

—『役にたたない日々』佐野 洋子 著

このエッセイはガンの闘病記でもあるのだけど、医者に余命宣告をされてから、人生が急に充実してきたという。

「あと何年もちますか」「ホスピスを入れて二年位かな」「いくらかかりますか死ぬまで」「一千万」「わかりました。抗ガン剤はやめて下さい。延命もやめて下さい。なるべく普通の生活が出来るようにして下さい」

「わかりました」(それから一年はたった)

ラッキー、私は自由業で年金がないから九十まで生きたらどうしようとセコセコ貯金をしていた。

私はその帰りにうちの近所のジャガーの代理店に行って、そこにあったイングリッシュグリーンの車を指さして「それ下さい」と云った。

—『役にたたない日々』佐野 洋子

後日、ジャガーは何度も車庫入れに失敗してボコボコにされている。ロックだ。

佐野さんのエッセイを読むと、自分はなにが好きで、なにが嫌いなのかちゃんと考えたくなる。

無印良品の本も読んでみたい。この本、佐野さんがご存命であれば「私、おしゃれな事がゼーンブダイッキライナノ、ゴメンネ」と言って断られ、出版されていなかったと思う。

@ure
どうぞごゆっくり