「Y2K新書」や「丸顔たちはきょうも空腹」をイヤホンで聴きながら、洗い物を片付けて1キロのにんじんを切る。人参は全て皮付きのまま細切りにした。あまりに大きいにんじんだったので、輪切りにするとそのままコースターに使えそうだった。にんじんのコースターを何枚も作り、コインのように重ねて細く切っていく。人の頭くらいあるんじゃないか、という量のにんじんの細切りができた。
蓮根も輪切ののち4分の1くらいに縦に切って酢水にさらし、一部のにんじんといっしょにきんぴらを作る。材料をフライパンに入れたところで、今日がハロウィンなことに気がついた。ちょっと和風すぎるな、と思ったけれどどうしようもない。にんじんのオレンジで、色がハロウィンということにした。
道端に作業服の男性が2人立っていた。その作業服が真っ青で、青空と形容するには人工的すぎる、のっぺりした色だった。青い絵の具に白の絵の具をほんの少し混ぜたような色。しかも真新しそうで、田舎の秋の赤から茶色といった風景からはものすごく浮いていて、そこだけ写真を貼り付けたみたいだった。
『二周目の恋』を読み終える。島本理生 「最悪よりは平凡」、綿矢りさ「深夜のスパチュラ」、波木銅 「フェイクファー」、一穂ミチ 「カーマンライン」、遠田潤子 「道具屋筋の旅立ち」、桜木志乃 「無事に、行きなさい」、窪美澄 「海鳴り遠くに」が収録されている。
話として面白かったのは綿矢りさ「深夜のスパチュラ」。綿矢りさの文章には痛快さがあって、恋愛ものになったときも重くならなくていいな、と思う。
文章が好きだったのは一穂ミチ「カーマンライン」。読みやすくて心情描写が丁寧で、なにより文章が綺麗。作中で一番好きだった文章を引用したい。
「ママはほんの数メートルを、跳ねるような足取りで一気に埋めた。その一瞬でママが太平洋を飛び越えたように感じられた。呆気なくて途方もないステップ。」(本文p.159)
波木銅 「フェイクファー」は、恋愛要素が薄くて読みやすかった。着ぐるみを作るサークルに所属していた主人公の話で、主人公がときめいた着ぐるみがかわいらしく描写されていて良い。
遠田潤子 「道具屋筋の旅立ち」も面白かったし清々しかったけれど、苦しい描写が多いので、その部分を読むのが少し辛かった。作中で藤袴を乾かすと桜餅の匂いになると言及されていたのが気になっている。桜餅の匂いはクマリンという成分によるものだったと思うのだけれど、実際に藤袴にクマリンが含まれているのだろうか。
「刈り取ったものを半乾きの状態にすると、桜餅のような香りを生じます。これは、フジバカマに含まれているクマリン配糖体が加水分解され、オルトクマリンが生成されるからです。そのため中国では香袋や入浴時に湯に浮かべ、その香りを楽しんでいます。」(上記サイトから一部抜粋)
どうやら、本当に藤袴にはクマリンが含まれているらしい。しかも中国ではお湯に浮かべたりしているらしい。生きているうちに一度、藤袴をお湯に浮かべてみたい。
最近ようやく恋愛作品には興味の惹かれないものが多いということに気がついた。「二周目の恋」には百合もあったけれど、ここに挙げなかった作品にはいまいち心が動かなかった。向き不向きがあるのだろう。
作った短歌。
蜜月にかぼちゃに揺られ夢をみる 誰のものにもならないわたし
晩ごはんは夫がロールキャベツを作ってくれた。しみじみおいしい。
良かったニュース。