前回の通院から抗うつ剤の服薬をはじめた。いまのところ効果のほどはわからない。吐き気や下痢の副作用が出やすいらしいがそういった症状もなく、強いていうならずっと胸が張っているような気がする。はじめて薬を飲んだ翌日は晴れやかな気分だったけれど、薬の効果は二週間後あたりから出るようなので単純に体調が良い日だったのだろう。
今回の通院で、薬の量が一日半錠から一錠に増えた。心理検査も行った。おそらくADHDやASDなどを診断するためのもので、検査を行ってからずっと不安な気持ちだ。わたしの生きづらさに名前をつけて安心させてほしいし、わたしの生きづらさはわたしだけのものだから形にはめないでほしい。二律背反だ。
待合室でのお守りがわりに持参した本は陸秋槎『雪が白いとき、かつそのときに限り』だった。5年前の生徒の不可解な、ほぼ密室のような不審死事件を、その学園の生徒会長が追うというミステリ小説。同じ作者の『元年春之祭』が面白かったので手に取った。今回の『雪が白いとき、かつそのときに限り』は言葉がややまわりくどかったり、情景の想像ができなくて読み進めるのがすこし難しい。また、主人公である生徒会長が厭世的で毒舌で、少し余計なことを言うのであまり好きになれないでいる。でも事件の真相は気になるので、きっと読み進めてしまうのだろう。生徒会長に対して「いちばんの友人だと内心思っているというのに、あちらは変わることなくそっけない態度で事務的なやりとりが続いている」と独白する生徒や、亡くなった生徒に対して「あの子のことは大事な友達だと思いながら、恋に近い感情も持ってた」「でも別の面では、あの子がなんだか恨めしかった」と語るキャラクターなどが登場する。要するに百合が端々に散りばめられているのだけれど、関係性が今後語られるのか、変化するのかも気になる。