焼サンドと椅子

漆野凪
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 朝6時に目覚ましが鳴る。普段はこの目覚ましを止めてから二度寝するのだが、珍しくこの日は二度寝をしなかった。日が完全に上りきっておらず空が青いうちに目が覚めたのがうれしい。シャワーを浴びて、お腹が空いていたのでヨーグルトを食べる。

 図書館で本を借りた。くどうれいん『虎のたましい人魚の涙』、今尾恵介『地名の社会学』、おいしい文藝シリーズの『つやつや、ごはん』、高野秀行『幻のアフリカ納豆を追え!そして現れた〈サピエンス納豆〉』、山極寿一・鈴木俊貴『動物たちは何をしゃべっているのか?』、キム・チョヨプ『この世界からは出ていくけれど』の6冊。たくさん借りてしまったので、期限内に読み切れるか心配になるが、気になっていた本ばかりなので楽しみでもある。

 図書館の近くのパーラーでお昼を食べた。パスタやドリア、サンドイッチなどと一緒におでんやうどんやエビチリ丼までもがメニューに記載されており、さらにモーニングも14時までやっているのが面白かった。この日はサンドイッチの気持ちだったのでハムとたまごのミックス焼サンドを頼んだ。ホットサンドではなく焼サンドなところが良い。200円でコーヒーも付くとのことで、せっかくなので付けてもらった。先に運ばれてきたコーヒーは熱くていろんな味がした。苦すぎることがなく、砂糖を入れるとものすごく飲みやすくなった。先ほど借りた『虎のたましい人魚の涙』を読みつつ注文を待つ。この本によると、岩手には銀河鉄道という電車があるらしい。一度乗ってみたい。

 焼サンドも後から運ばれてきた。持ってきてくれたお爺さんは「コーヒーが無くなる前で良かったです」と言ってくれて、人の良さを感じた。焼サンドはちゃんと耳が外された食パンで、ハムとたまごと一緒に挟まれている、ピーラーで薄く削ったようなきゅうりがなんとも言えずうれしかった。

 座った席の横がベッドのないラタンの天蓋のような半個室になっていて、いつもそこに座っているらしい小さい子たちとおじいさんがお昼を食べにきていた。先に運ばれてきたわたしの焼サンドがおいしそうだったのか、ラタンの網目ごしに興味津々にこちらを見ていた。

 最近いろんなところで椅子を探しているのだが、オフハウスで気に入った藤の椅子は数日後には売れてしまっていて、今のところ1番気に入っている椅子はニトリの折り畳める木製の椅子だった。ただ、作りがしっかりしている分値段が5000円ほどだったので踏ん切りがつかずにいた。丁度いい椅子はないものか、とこの日はビバホームに寄った。思い通りの椅子は見つからなかったが、深い茶色の、伸縮性のある木のブックスタンドがあった。あまりの可愛さに目を奪われた。あいにく、入れる本なら沢山ある。在庫入れ替えで2000円ほどになっている。しかし、手元に5000円しかない。ここにいい椅子がなければニトリで目星をつけた椅子を買おうと思っていたのだが、ブックスタンドを買うと椅子が買えなくなる。仕方ないので、ブックスタンドはあきらめ、後ろ髪をひかれながらビバホームを後にした。

 そしてニトリで折り畳みの椅子を買った。折り畳みとはいえパイプではなく木製で、重厚感があってかっこいい。また、座るところにもクッションがついていてお尻も痛くなりにくい。わたしは背が低いので膝から下が必然的に短く、大抵の椅子はかかとがつかないのだけれど、この椅子は少し低めでしっかりかかとがつく。(と思っていたが、それは靴を履いていたときの膝下の長さだったので、しっかりではなくふんわりかかとがつく高さだった。)背もたれが木の棒なので、長時間使っていると背中が痛くなりそうだったが、クッションを敷けば問題なさそうだ。少し大きめの買い物ではあったけれど、これからの生活でこの椅子と過ごせると思うとうれしい。

@urushino_nagi
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