塩辛くない海/魂の速度

漆野凪
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 7時に目が覚める。窓を開けると天気が良く、風が涼しかった。昨日食べすぎてお腹が張っていたので朝ごはんはミロで済ませ、流しを片付ける。あまくないカフェオレを作って、飲みながら本を読んだり映画を観たりする。先日たくさんのミニトマトをもらったので、こちらもお腹が空いたときにつまんだ。


 日本民話の会/外国民話研究会編訳『世界の猫の民話』を読み終えた。いろんな国の猫に関する民話が載ってて楽しかった。ヨーロッパでは人間が猫に変身する・させられる話が多くて、アジア圏だと猫が人間に変身する話が多いのが興味深い。キリスト教では結構動物の地位が低いイメージがあるので、宗教観の違いなのかな……と考えたりした。そういうイメージがあるだけで、キリスト教に詳しくないのでなんとも言えないけれど。


 梨木香歩『エストニア紀行 森の苔・庭の木漏れ日・海の葦』を読む。タイトルの通りエストニアへの旅行記で、乗り換えの空港で本をうっかり千五百グラム強買い込んでしまったり、エストニアに来るついでにコウノトリを見ようとしたらなかなか会えなかったりする。本をグラム数で表しているのが面白かったのだけれど、旅先だと1.5キロはかなり響いてきそうだな、とも同時に思う。

 最初の方は歴史の話が中心で正直よくわからなかった。基本的には淡々とした文章で綴られるエッセイなので起伏が少なく、面白いかと言われるとすこし考えてしまうのだけれど、興味深いエピソードがたくさん載っていた。コウノトリが渡るときはいよいよエストニアが暗い冬になるという話や、旅先で食べた松のチップで燻製したマッシュルーム入りのサラダ、バルト海の水は塩辛くない話、サウナは神聖な場所で昔はここでお産が行われた話など。

 その中でもとくに12ヶ月の風のゼリーをつくっている話が素敵だった。「一月の風」はラプサンスーチョンという松を燻した香りがついている紅茶を少しと、甘味のない柑橘類を足してゼリーにしたもの、という具合。

 体の移動の速度がはやすぎると魂の移動が追いつかず置いてけぼりになってしまう話などもあり、似たような話をどこかで読んだな、と思い調べたところ、どうやら星野道夫の『旅をする木』にそのような記述があったらしい。こうして、本の内容が繋がる瞬間が好きだ。


 おばあちゃん家から茹でたとうもろこしと桃と卵をもらう。そのとうもろこしをおやつにかじりつつ、映画『ピーターラビット』を観る。ピーターラビットたちウサギと人間が庭を巡って争う映画。ウサギが害獣すぎて人間が可哀想になってくる。面白かったけれど、人の家で好き放題する描写がかなり苦痛なので個人的には苦手な映画かも。映画『パラサイト』でもそのようなシーンがあったけれど、かなり苦痛だった。あれはわざとだろうけれど。

 登場人物は害獣と神経質な男とウサギ狂いの女という感じ。自分の家なのにホームアローンをされる男が可哀想になってくる。男とウサギのバトルシーンはかなりよかった。あとエンディングでアニメーションになるのもかわいらしかった。CGのウサギはこんなに憎たらしいのに……。


 先日大量にもらったきゅうりがあるので、これからちくわと一緒に塩昆布で和える予定。桃も切りたいな。

@urushino_nagi
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