中秋の名月/ストリートビューの父

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公開:2024/9/18

 7時半に目が覚める。いつもより早くてうれしい。プロテインを飲んで、実家にエアロバイクを漕ぎに向かう。母と話したりゆる民俗学ラジオを聞きながら20分ほどエアロバイクを漕ぐ。


 昨夜は月を見に出かけたけれど雲が多く、かろうじて月の光が雲の隙間から透けて見える程度だった。夫が買ってきてくれた月見団子も食べた。


 帰宅して、今日までが貸出期限の本『台湾文学ブックガイド 短篇小説集〈3〉プールサイド』を読み進める。なんとか今日中に読み終わることができたのだけれど、うっかりお昼寝をしてしまい、図書館の開館時間には間に合わなかった。明日の朝、なるべく早くに返しに行きたい。次に借りる本もすでに予約してあるので、そちらも楽しみだ。

 三須祐介訳、呉佩珍・白水紀子・山口守編『台湾文学ブックガイド 短篇小説集〈3〉プールサイド』では、社会からいびつとされている学生たちの青春譚である陳思宏「ぺちゃんこな いびつな まっすぐな」と、亡くなった父が以前グーグルマップのストリートビューに映り込んでいたのを偶然発見したところから始まるSFの川貝母「名もなき人物の旅」が特に面白かった。

 子持ち36歳とその子どもに水泳を教える18歳学生バイトのBLである鍾旻瑞「プールサイド」と、支配的で重い養父の話である黄麗群「海辺の部屋」も良かった。「プールサイド」は文章が綺麗だった。

 元々幻想的な捉えどころのない文章なのか、陳柏言の「わしらのところでもクジラをとっていた」、陳淑瑤の「白猫公園」、ワリス・ノカンの「父」はよくわからなかった。方清純「鶏婆の嫁入り」は面白かったものの、地の文と「私」の視点の文が入り乱れるためかなり読みにくかった。

 全体的にゲイカップルやトランスジェンダーや父親がモチーフとして登場する話が多かったように感じる。『台湾文学ブックカフェ1 女性作家集 蝶のしるし』では表題作「蝶のしるし」が台湾レズビアン文学に大きな影響を与えたとあったし、性の多様かつ日常的な小説に富んでいるのかもしれない。

 下の文章は、「プールサイド」の好きな文章を引用したもの。

「少年は彼の後ろ姿を見て、猫背の人というのは、もしかすると背負っているものがずっしりと重いのかもしれないと思った。」

「水の中ではいつも、自分がほんとうに海中の魚から徐々に進化してヒトになったのだということをつくづく信じることができた。」

『台湾文学ブックガイド 短篇小説集〈3〉プールサイド』鍾旻瑞「プールサイド」p.31より


 今日のお昼。ゆで卵、蒸しなす、なすの味噌炒め、つるむらさきのお浸し、きゅうりの佃煮、ちりめん山椒入りおにぎり、夫が作ってくれたキャベツとベーコンとつみれ入りのスープ。ベーコンは母が以前作って(!)分けてくれたもので、噛めば噛むほど燻製と脂の味がしておいしかった。

 お昼ご飯を食べながらNHKプラスで「ダーウィンが来た!」と「サイエンスZERO」を見る。「ダーウィンが来た!」では好蟻性昆虫について、「サイエンスZERO」ではハキリアリの言語についてと、どちらもアリについての回で面白かった。アリの言語について、腹柄節(ふくへいせつ)という節のあるあるフタフシアリ科のものが言語を使うらしい。

@urushino_nagi
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