8時半に目が覚めた。昨日に比べると眠気がましな気がするが、それでも若干眠い。窓を開けたらむわっとした湿気と熱気が押し寄せてきて、まだ9時にもなっていないのに……と辟易した。寝ぼけまなこのまま洗濯機を回して、昨日夫が作ってくれたカレーを食べる。カレーは夏野菜入りのもので、じゃがいもとたまねぎがとろけていて、カレーの中に入っているとけたじゃがいものでんぷん質がうれしい。ズッキーニも入っていて、中心部は溶けて無くなっていた。柔らかくておいしい。優しい味なので、福神漬けを添えると食感と味に変化が出て、これもまたたのしい。朝は食欲がないことが多いのだけど、カレーだとするすると食べれてしまう。
朝ごはんを食べていたら洗濯が終わっていた。洗濯ものを干しながら、今日はワクチンのキャッチアップを受けた腕がそれほど重くないことに気がついた。うれしい!
昨日の夜、渡辺一夫『日本の石ころ標本箱』を読み終えた。日本各地の海や川原が地図付き、かつその土地で拾った石の写真付きで紹介してある。図説というのがしっくりくるかも。蛇紋岩の写真に「握りしめると布のようなやわらかい感触の蛇紋岩」と説明が添えてあるのが気になった。布みたいな触り心地の石って、一体何なのだろう。なめらかなのだろうか。布、と書いてあるのに頭の中では絹を想像してしまう。
最近、安房直子の童話を気に入って読んでいる。もともとは母が安房直子の「ライラック通りの帽子屋」が読みたいとのことで、図書館から借りてきたのが始まりだった。やわらかくきれいな文章は読みやすく、情景が浮かぶ。登場した食べ物や飲み物を口にしたり、匂いを嗅いだような気持ちになる。たちまち安房直子の文章のとりこになってしまい、全集を1巻から借りることになった。(ライラック通りの帽子屋が掲載されているのは4巻で、全集は7巻まである)大人になってもこうして親子で同じ本を読んで、しかも感想を共有できるのは素敵なことだな、としみじみとうれしく思う。以前も紹介したけれど、わたしは「空色のゆりいす」が1番好き。でもこれから『安房直子コレクション2 見知らぬ町ふしぎな村』を読むので、素敵な話に出会ったら1番が更新されてしまうかもしれない。たのしみ。
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伏見蒲鉾のえび入り紅しょうが揚を食べた。香ばしくてしゃきしゃきした食感があっておいしい。何が入っているんだろう?と思って原材料を見たらくわいが入っていたので、もしかしたらくわいのしゃきしゃき感なのかもしれない。
『安房直子コレクション2 見知らぬ町ふしぎな村』を読み終えた。この巻もすてきな言葉にあふれていた。好きな文章を4つ引用したい。
「洋吉のつくるオムレツは、つぶれたスリッパのようでした。洋吉のつくるビフテキは、古ぞうきんのようでした。洋吉のつくるカレーライスときたら、ただもう、からいだけで、こくもうまみもありませんでした。」
(『安房直子コレクション2 見知らぬ町ふしぎな村』「魔法にかけられた舌」p.11より)
「三日月が、すこしずつすこしずつ、ふくらんでいきます。まるで、黄色い花のつぼみがふくらむように……。」
(『安房直子コレクション2 見知らぬ町ふしぎな村』「空にうかんだエレベーター」p.46より)
「女の子は、自分の猫の寝息を、よく知っていました。それは、小さなすきま風ににていました。そのくせ、静かであたたかで、コーヒー茶わんから、ほのぼのとのぼるゆげのような息でした。」
(『安房直子コレクション2 見知らぬ町ふしぎな村』「ふしぎな文房具屋」p.87より)
「ふしぎなベランダでとれた野菜は、あまく、みずみずしく、ひと口食べるごとに、体がすきとおっていくようでした。」
(『安房直子コレクション2 見知らぬ町ふしぎな村』「だれにも見えないベランダ」p.324より)
とくに猫の寝息に関する文章が、こころだけでなく指先まで猫の寝息を感じるたようにあたたかく、くすぐったくなってきて好き。
この巻では1番「遠い野ばらの村」という、架空の息子と孫の話をしていた独り身のおばあさんのところに、ある日本当に孫がやってくるというおはなしが気に入ったけれど、安房直子の童話を読んだ中で1番のお気に入りは「空色のゆりいす」でかわりなかった。1番が変わらないでほしい気持ちと、これ以上面白い話がでてきたらどうなってしまうんだろう、という気持ちがある。他の巻も(あと4巻もある!)読むのがたのしみ。