KKCアンソロありがとうございました! 先日その御本と執筆者宛てのすごいノベルティを頂戴したので、今日はこれでめいっぱい遊びたいと思います。
▶教皇庁の床コースター
ここにだれかを寝かせたら、だれでもKKC地下の囚われの姫になっちゃうよ! 個人的には、伝承者とサテュールノワを切り貼りしてここに並べて写真を撮りたい。
あれ、この封筒はなんだろう。
〜モブ妄想を開始〜
おれはメリさまに憧れを抱く修道騎士。彼はおれたちの教義とは少し違う理屈で動いているようだが、救国の士であることは間違いなく、おれは彼の圧倒的な強さと賢さ、そして冷静さに遠くから憧れていた。
ある日のこと。
教皇庁の地下へ至る階段にて、おれは小さな封筒を見つけた。
「おや」何か入っているようだ。おれは何気なく、落ちていた封筒の中身を手のひらにひっくり返した。
▶地下牢の鍵
「ハッ……!!!」
鍵だ。おれはなぜかひどく驚いて、床に落としてしまった。
鍵は石畳を突いて耳障りな音を立てた。鈍い金色に輝き、つめたく横たわる。この残酷なまでにシンプルなデザインの鍵、一度だけ見たことがある。間違いでなければ、これは、地下牢の鍵だ。
だれが、なぜ……? ご丁寧に封筒に入っているだなんて。おれの脳内は疑問であふれ、頭が真っ白になった。
いや、立ち尽くしている場合じゃない。すぐにこの目で確かめなければ。地下牢で何かあったのかもしれない。
▶メリさま緊縛アクリルコードリール
誰かの吐く息の音がする。
地下には風が吹かないから、間違いない。人がいるのだ。おれは地下の廊下を最奥までずんずん進んだ。
「誰かいるのか!」
しかし、返事はない。ただ、おれが近づくたび、呼吸する声が、かすかに大きくなっていった。
一見するとただの壁のように見えるところに、地下牢の鍵穴はひっそりと存在する。そこへ鍵を深くさして、おれはおそるおそる持ち手をひねった。
「開いた……」
壁によく似た扉を押すと、普段は明かりひとつないそこに煌々と松明が輝いていた。どうして。ここはおれの記憶が正しければ、大罪人の牢なのだ。
「だれ、だ……」
か細い声が聴こえた。おれは急いで鉄格子に駆け寄った。
「あなたは……!」
絶句した。まさか、あなたが。どうして? メリさまが大罪人? なぜ。なにかの間違いだ。
iPhoneのイヤホンコードをぐるぐるに巻かれている(※笑うところ)にも関わらず、メリさまはうめきはしても、そこを動こうとしなかった。
「助けないと……!」心の声が自然に口から飛び出して、俺はがたがたと震える指で、鉄格子の開錠を試みた。しかし、牢の扉は開いても、鉄格子の鍵が開かないのだ。「どうしよう、どうしよう」
「構わない。私は逃げてはならないのだから」メリさまの声には、はっきりとした意思がこもっていた。私を制止し、このままにせよと命ずるような声だった。
「しかし、ここは大罪人が入る牢ですよ。あなたがなんの罪を犯したのか、下っ端のおれにはわかりません……でも、少なくともここはあなたのいるべき場所ではないはずです! おけがはありませんか、どこか痛いところは、」
言いながら、涙が出てきた。おれは修道騎士だが、この人の気高さと潔癖さはよく知っているつもりだ。たとえメリさまが大罪人の扱いを受けるようなことがあったとしても、例えば誰かの思惑だとか、不当な扱いを受けて不利な立場に置かれたからなんだ。だから、助けなくてはいけないんだ。おれは、おれだって、イシュガルドの改革を願う若者の一人なのだから。おれは涙が止まらなかった。
「ありがとう。私のために泣いてくれているのだろう? だが、教皇猊下や蒼天騎士団がいかなる裁きを下すのかを見届けるまで、私は逃げるわけにはいかないのだ。今のところ大きなけがはない。だから、どうかここにこのままいさせてくれ。可能ならば明日、何かパンひとかけでも、水の一滴でも構わない……もってきてもらえると助かるのだが……」
「わかりました……」「君がここを訪れたとき、私はなるほど、一日たったのだと理解しよう。また明日、同じ時刻にきてくれないか」
できる限りのことをすると約束して、おれは地下牢を後にした。足に力が入らず、おれはよろめきながら自室に戻った。
▶ハメ撮り風クリアカード
遅かった。
おれは持ってきたパンと水を、床にこぼしてしまった。のどにコルク栓できつく蓋をされたかのように、おれは声が出せぬまま、牢の入り口に立ち尽くした。怖くて、苦しくて、メリさまを助けたくて、でも動けなくて、おれはただただ立ったまま固まった。自分の呼吸がうるさくて、うまく皆の声を拾えない。
「おまえもこいつの味見をしに来たのかよ」
下半身を露出させた大柄の騎士たちが、メリさまにかわるがわるにまたがった。みにくい陰茎をさらして、それをメリさまの口に押し込んだ。頼むから、それを噛んでくれ。噛め。お願いだから。しかしメリさまは、決して噛もうとしなかった。苦しげにせき込み、ぐったりと床に横たわっていた。抵抗しようと思えばできるはずなのに、どうしてメリさまは騎士たちを退けない。松明に照らされてメリさまの腹の上でぎらぎらと光るのは、あれは、こいつらの体液なのか。
騎士がメリさまの身体から退いたとき、メリさまの胸に大きな切り傷が刻まれているのが見えた。血がにじんでメリさまが鋭くうめいた。メリさまの顔をうかがうと真っ先に鼻血が垂れているのが目に飛び込んできた。おれは頭に一瞬で血が上った。頭全体が一気に沸騰してこめかみが悲鳴を上げた。腰に下げた魔道書を掴む。皆殺しにしてやる。殺せ! 殺せ!「やめろ」
殺せと叫ぶ心の声に、別の声が重なった。ハッとしてメリさまを見ると、メリさまがこちらをじっと見ていた。
「行ってくれ。君は何も見なかった……」
メリさまは、おれの助けを必要としていなかった。おれは無力だ。メリさまは、お考えあってこの扱いを受け入れているのだろうか。おれだけが、この状況を受け入れられていないのか。おれを巻き込むまいと、おれを遠ざけたのだろうか。
おれは、できなかった。おれは、粛正する力を持たなかった。おれは命令通り盆と皿をつかんで、走り出した。背後で下卑た笑い声が聞こえて、俺は床に吐いた。地下から一階に着くまでの間に、おれは何度も嘔吐した。そのたびに、メリさまのほうがもっとおつらいのかもしれないと、メリさまの苦しみが頭をよぎった。
▶ハメ撮りポストカード
その翌日、もう二度とメリさまのもとへ行ってはならないような気がした。しかし、おれが行かなければメリさまは亡くなってしまうかもしれない。怖かったが、律儀に水を用意した。水差しいっぱいに水を入れ、できれば体をぬぐっていただこうと医務室にこもって、清潔な布を麻袋に準備していた、そのときだった。
「うっ」
肩に激しい痛みが走った。下ばかり見ていたから、誰かが医務室に入ってきたことに、気が付かなかった。肩が触れたのだろうか、おれが当たってしまったのだろうか。見上げると、おれよりずっと体格のよさそうな、鎧の男が立っていた。
「見ろ」「なに……?」男は私の足元を目で指し示す。
封筒が落ちていた。とても軽く、少し硬い。おれはその封筒を布の上に置き、明かりを近づけておそるおそる開封した。
中身を見て、俺は言葉を失った。
「お前も同罪だ、傍観者」
おれの頭上で、男が嗤った。
「違う……ちがう、ちがう!! おれは、おれは……」
【終】
💛このノベルティ小話よりずっと濃いお話がたーーくさん詰まったアンソロ「OUBLIETTE」、好評頒布中! みんなぜひお手に取ってごらんくださいませね!💛
豪華ノベルティありがとうございました! まめしおさんシールかわいかった~! お菓子最高に豪華で箱もかわいい!これにノベルティを保管するんだ。ハッピーハッピーハーッピーー。
お読みくださりありがとうございました! おしまい!
おまけ:鎖で縛るとそれらしいという素晴らしいアイディアを拝見したので、やってみた。
ネックレス「どうして」
凹凸が多いからコードが引っ掛けやすい! 良い品!
おわります。