どこかの窓辺から

るり
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春休み、抱えていた講義も終わってオンラインでできる仕事のみになった。論文も史料があれば書けるな。ふと思い立って岡山の家へ帰ることを決めた。

新幹線に乗ってから、家族に帰ることを伝えていなかったなと思い出して、「今新幹線乗った。20時過ぎには家着くと思う。」と送る。何かあったのかと心配された。そりゃそうか、特にない。本当に何もないのだが、東京の家以外で眠りたかったのだと思う。時々、というか私にはよくある話。新幹線は連休前日という割には空いているなと思ったが、京都でめちゃくちゃ人が乗ってきて1号車もぱんぱんになった。隣に座った人と、「人多いですねえ」なんて呑気に話していたら岡山。下車。

そこから山陽本線に乗って最寄駅(…といえるのかはまあ微妙だが、1番近い駅しかし歩いて行けるかはちょっと気合次第)に到着、下車。1月にも帰っているので真新しさはないが、ここで特急やくもが4月からオレンジ色になって全席指定になることを知る。車内がやたらとカラフルになるらしい。知らんかった。

家に着いて家族に挨拶して化粧を落としてシャワーを浴びて部屋着に着替えるまで1時間弱。思いの外疲れも溜まっていたらしいのでおやすみとひとこと告げて寝る部屋へ向かった。換気はしていてくれたらしい。滑り込む夜の空気は存外冷たくて、少し嬉しかった。

何時に寝たのかはあまり覚えていない。

岡山の家に住んでいた時に私の部屋だったところは、昨年母の部屋となった。他は父の仕事部屋と完全な物置き部屋と、セミダブルのベッドが置いてある半分物置き部屋。岡山の家に帰った時は、大抵そのセミダブルベッドで寝ている。

大きな窓の横に置かれているので、朝の光が差し込んできて気持ちいい。主に生活している部屋たちとは少し離れた場所にあるので、誰とも繋がっていない時間が欲しい時はベッドの上で窓から外を眺めている。遠くで生活が始まる音を聞きながら、朝のまっさらな光を薄目で眺めて、大きく背伸びをして、また今日も1日をするかあなんて思う。岡山の、どこかの家の窓辺から。

黄色いカーテンの写真。朝の光で透けている

@utatane
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