金カムの愚痴

蟒蛇
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タイトルの通りです。真面目な批評などではなく、ただの愚痴です。

マストドンのTLを眺めてたら、野田サトル氏が自身への批判者をイデオロギー呼ばわりするという典型的なネトウヨしぐさをし始めたというのを見かけて、とうとうか、と思いました。

自分はTwitter時代から度々金カム批判してました。完結前後あたりのころです。和人である作者のアイヌとの向き合い方、作中で見られる軍事賛美とも取れる描写、新撰組の描き方、ラストの白石の行いなどなど。

ただ、リアルタイム読者だったころは民族や歴史にあまり詳しくなかったので、自分の言葉での批判よりもいいねRTがメインでした。あれからいろいろと勉強し、知識を蓄え、金カムの問題点がなにゆえ問題なのかが以前よりも高解像度で分かるようになりました。「当社比」ですけどね。

当時漫画の本編を読んでいた時には気づけなかった作者の危うさを自分で気づくキッカケになったのは、公式ファンブックを読んだ時でした。ファンブックには作者のインタビューみたいなものが載っているのですが、今の若者に伝えたいことは何ですか?という質問に対して、この世は弱肉強食 弱いものは食われます みたいなことを言っているんですよね、彼。

いや、弱肉強食っていうのは自然界の在り方で、高度な文明や社会を築いている人間にそのまま当てはめてはいけないものだと思うんだけど……そもそも社会的マイノリティ(=社会的マジョリティによって抑圧、差別、殺害されてしまうことがある者たち)をメインに扱った漫画のファンブックでそんなこと言う? あまりにも無神経すぎない? 差別されるのはマイノリティが弱々しいせいだとか思ってるのか? とぼんやり思ってました。

そして、ファンブックの中にはもう一つ衝撃的なコーナーがありまして。それが、作者の祖父にあたる軍人の写真や言葉などが紹介されているページです。これにはさすがにドン引きしてしまって、え? 何これ…… え? 自分はいったい何を見せられているんだ??? と思いながら流し見したので、正直詳しい内容は覚えてません。(今すぐ開ける場所にないので割愛します、気になる方は中古で買ってみてもいいかもですね……)

そこに戦争や軍事への批判は一切なかったと思います。日帝の過去の行いへの批判などもなかったかと。作中で実在の日本軍人をモデルにしたキャラクターが魅力的に描かれているだけでも、右傾化が著しく軍事強化が成されている今の日本では危うさMAXなのに、さらにそんなキャラクターや作品を生み出した作者が悪びれもせず無批判に身内の軍人を紹介していたら、そりゃ良識ある人には批判されて当然でしょう。

過去のインタビュー記事で「いい和人もいた」というような発言をして猛批判されたこともある野田サトル氏ですが、そういった危うい言葉や行動の数々の答えがイデオロギー呼ばわりに表れてるなぁという感じですね。分かる人にはとっくに分かっていたことですけどね……

実は自分は、数年前にフェミニストの方がオススメしていたのを見て電子版を10巻くらいまで一気に買い、無料公開されていたのを読んでからは紙の新品を1〜28巻までまとめ買いしたんですよね。金カム。

金カムの件があって以降、作者の思想が分からず完結もしていない漫画を新品で買うことにものすごく慎重になりました。最近はフェミニストの作家さんが描くフェミニズム色満載の漫画を中心に買ってます。あとはピッコマで無料分だけを読んで様子見がち。

資本主義社会において、お金は直球の権威・権力ですからね。差別や戦争を後押ししてしまう可能性のあるコンテンツ・人物には、できるだけお金は払いません。長い目で見たら、結局は自分自身の首を絞めることになるので。金カムにハマっていたころの自分はそのことに気づいていませんでした。浅慮だったなと思います。

金カムコミックはすべて売る予定で、ファンブックとDVDと一緒にすでに箱に詰めてあります。ファンブックがすぐに読める状態じゃなかったのはそのためです 笑

空いた本棚のスペースには、大好きな夏目友人帳を買って収納するつもりです。夏目友人帳は良きですよ。

@uwabami
オタクィアフェミニスト。社会やら趣味やら雑多に語ってます。 詳細なプロフィールや語りの傾向は固定記事にて。