数日前にYOASOBIが日米晩餐会に出たと知ってから気持ちが沈んでいて、YouTubeの再生リストからYOASOBIの曲たちを泣く泣く削除したりしてたんですけど、朝ドラ主題歌についての米津玄師のインタビューを読んで少し元気が出ました。
YOASOBI、ボカロP上がりだからと そんなのに期待してたの? みたいな言い方をされている方も見かけたんですが、ボカロPにもいろいろいますよ。自分はそこまで詳しくはないですが。
例えばNeruさんという方の『ハウトゥー世界征服』や『テロル』は(タイトルはちょっとアレですが)社会派ソングだと自分は思いますし、てにをはさんの『ヴィラン』はクィアソングとして様々な当事者たちにも受け入れられている楽曲ですよね。
YOASOBIも歌詞的にどちらかというとそういう類のアーティストだと思ってたんです。少なくとも自分の目にはそう見えていました。
何というか、晩餐会に出向いたという事実そのものよりも、政治的なウォッシュ行為とか大衆媚びとか、著名な芸術家が最低限気をつけなければならないそういう基礎の基礎部分すらもかれは考えたことがないのかもしれないということが伺い知れるのが悲しいと言いますか…… 正直、テレビへの露出が増えてきたあたりから「おや……?」と感じてはいましたが。
GL好きでオムニセクシャルの自分は、YOASOBIにはいつか女×女の恋愛ソングを作ってほしいなと密かに思ってました。YOASOBIならそういうのをしれっと爽やかに提供してくれるような気がしたんです。ポテンシャルを感じてたんですよ。でも、今となってはなぜかれらにそのような可能性を感じていたのかもだんだん分からなくなってきました。洗練されたメロディとひねりの効いた歌詞の魔力によって、社会に小石を投じてくれそうな可能性まで勝手に感じてしまっていただけなのかもですね。
晩餐会とは無関係ですが、先日YOASOBIが出演していたテレビ番組をたまたまちらりと見かけた時、ブラックルーツではないであろうAyaseさんがオシャレとしてブレイズらしきヘアスタイルをしていたのも実はちょっと引っかかってました。まぁでも、文化の盗用はあらゆる差別問題の中でも(日本社会では)あまり知られていない議題だと思うので、その時はそっと目をつぶったのですが……まさか数週間後に日米晩餐会で歌唱なるニュースが舞い込んでこようとは。
……と、シクシクうじうじしていたところに飛び込んできたのが、米津玄師のインタビューですよ。
自分はドラマという作品形態がどうしても苦手なので話題の朝ドラ『虎に翼』は見ていないのですが、主題歌を歌っているのが米津玄師だそうで。それについてのインタビューが公開されたみたいですね。
たった今読んできましたが、今まで断片的に感じ取っていた米津玄師の輪郭がまた少しくっきりした気がします。ただ、ここまでハッキリとフェミニズムやジェンダーについて話してくれる日が来るとは思ってませんでしたし、日本のメジャーアーティストでこんなにも深部まで思考して、しかもそれをメディアでしっかり語ってくれる方がいるとは思っておらず、まず驚きました。
まぁ常日頃いろんな方が釘をさしていることですが、見えやすい部分だけがその人の思考のすべてではないということですよね。(その意味ではYOASOBIもすぐには見捨てるべきではないのかもですが……今はちょっと疲れてしまいました)
ただ、米津玄師は過去にマッチョな偏見を投稿した本田圭佑に引用で「何言ってるか分からない」みたいな返しをしていたことがありますし、インスタのフォロイーさんが彼はMVの衣装が性規範にとらわれないスタイルだと紹介していたこともあるので、もともと規範とか差別とかには敏感な方なんだろうなとは思ってました。
あまり一個人を矢面に立たせたりヒーロー扱いするのはよくないと思うので、米津玄師に過度にいろんなものを背負わせることはしたくないですが、とりあえずYouTubeチャンネルの登録はしておきました(単純)