カッコの中は該当キャラの名前。2行目以降に作品の紹介文を記載。一部少々のネタバレを含む紹介文もあり。
●パティシエさんとお嬢さん (お嬢さん)
ケーキ屋で働くガタイのいいイケメンパティシエと、いつもその店にケーキを買いに来るぽっちゃりなお嬢さんとの甘酸っぱい恋愛ストーリー。プロット自体は「王道」な展開が多いので、キャラクター造形が見どころ。完結作品。
ドラマ化されているが、ドラマ版ではお嬢さんのプラスサイズ設定がなかったことにされ、いったい何が面白いのか分からない量産型ヘテロラブコメと化している(悪口)
●デブとラブと過ちと! (幸田夢子)
容姿に自信のなかった幸田夢子は事故にあって記憶喪失になり、以降自分のことを絶世の美女だと認識するように。積極的になった彼女は恋も友情も仕事も順風満帆となったものの、過去の自分を取り巻くトラブルや事件の影がいまだ見え隠れしていて……? ハラハラドキドキの恋愛&ミステリー。連載中。
●BORUTO (チョウチョウ)
あの世界的人気漫画NARUTOの続編。時代は移ろい忍の世は平和になったけれど、かつてラスボスとして戦った大筒木カグヤの一族が里を襲ってきたり、謎の組織との邂逅があったりときな臭い出来事は起こり続ける。戦いに巻き込まれながらも成長する、「子ども世代」の活躍を楽しむ作品。連載中。アニメ化されている。
チョウチョウは秋道チョウジとカルイの娘で、秋道一族らしくプラスサイズの体型。ただ、班のメンバーの中にいつも「デブ」と言ってくる男の子がいるのが難点。
●吸血鬼すぐ死ぬ (月光院希美)
タイトルの通りすぐ死ぬよわよわ吸血鬼と、同居人の吸血鬼退治人という異色のコンビを中心に物語が展開するギャグ漫画。倫理観のアップデートがスピーディ。連載中。アニメ化されている。
月光院希美は人間から吸血鬼に生まれ変わったキャラクター。人間のころは自信過剰な迷惑キャラとして描かれ、一緒にいた細身の友人の方に声をかけてきたイケメン吸血鬼を自分目当てだと勘違いし付き纏う。逃走途中トラックに轢かれそうになったイケメン吸血鬼を庇い死にかけるも、彼女の思いを受け止めたイケメン吸血鬼は彼女に噛みつき……
●皇帝と女騎士 (ポリアナ)
異母姉妹を跡継ぎにするからと、戦死させるために戦場に送られたポリアナ。兵として生きる中で出会った敵国の皇帝に仕えることとなり、女性ゆえに差別を受けながらも出世していく。やがて皇帝は、部下としてではなく一人の人間としてポリアナに恋焦がれていることに気づく。そんな二人が結ばれるまでを描いたフェミニズム色満載の恋愛漫画。完結作品。
ポリアナは赤毛のベリーショートで、兵士なので肌は傷だらけで筋肉質。性格も猛々しい。
個人的にフェミニズム作品は恋愛・結婚・出産をハッピーエンドの条件に据えてほしくないので、役満なこの作品は自分には合わなかった。あくまでキャラデザのみに焦点を当てた紹介なので抜粋。逆にそのあたり特にこだわりない方には超オススメ。
●作りたい女と食べたい女 (春日十々子)
特定層の間では言わずと知れた期待のクィア・フェミニズム作品。連載中。ドラマ化されている。
料理が大好きで、自分自身は少食なのにいつも思うがままに作りすぎてしまう野本さん。ある日マンションのエレベーターで乗り合わせた隣の隣に住む大柄な女性が、その手に持った大量のファストフードを自分一人で食べるために買ったものだと聞き、興味を持つ。
女性やジェンダーマイノリティ、セクシャルマイノリティに降りかかる差別を批判的に描くシーンが多く、そういったエピソードには注意書きや参考サイト、専門家のコメントなども添える徹底ぶり。倫理観という観点で、国産作品の中では現状この作品の右に出るものはないと思ってる。
●ドロヘドロ (Noi)
"自分を醜い姿に変えた、憎むべき「魔法使い」を頭からバックリ!! 口の中にもう一人の人間を住まわせた謎の異形の男・カイマン。魔法使いたちに姿を変えられた時に記憶を失い、いまはただ連中を狩る日々を過ごしている。「口の中の男」が犯人を言い当て、元の姿に還れるその日まで..."(ピッコマより)
完結作品。Noiは主人公たちと敵対関係にあるコンビの片割れで、長身かつ筋骨隆々、でも顔立ちは可愛らしいというギャップキャラ。性格も豪快でパワー系なのに、やっぱりどこか可愛さを感じるというギャップがいい。可愛い。アニメ化されている。
●SHWD (古賀)
"時は20XX年。先の大戦後、各地に出没する大戦中に開発された謎の生体兵器「デュナミス」の残存個体処理を請け負う、特殊組織SHWD <シュード>東京支部に新人の古賀が入社。彼女には佐和田という、デュナミスが発する電磁波による精神ダメージの影響を受けない先輩社員が教育担当となる。佐和田は後輩、ひいては他の女の子には不慣れではあるが、彼女らは処理現場でコンビを組み、未知の脅威に立ち向かっていく.....。"(ピッコマより)
完結作品。古賀さんは長身大柄のガチムチ体型。SFとGL好きな人にオススメ。古賀さんの他にもう一人ガチムチ女性キャラが出てくる。
●ランジェリーの女神さま (恵比寿天音)
婦人服売り場のカリスマフィッターである主人公が、下着選びを通じてお客さんの様々な悩みやコンプレックスと向き合い、新しい道を見つけるお手伝いをする。人間関係、ボディイメージ、セクシャリティなど扱われる題材は様々。連載中。
恵比寿天音さんはとてもファビュラスかつ視野の広い店員さんで、声かけが苦手な自分でもこんな方になら接客されてみたいかも……と思った。
●ダンジョン飯 (ナマリ、イヌタデ、リド etc)
"ダンジョンの奥深くでドラゴンに襲われ、金と食料を失ってしまった冒険者・ライオス一行。再びダンジョンに挑もうにも、このまま行けば、途中で飢え死にしてしまう……。そこでライオスは決意する「そうだ、モンスターを食べよう!」スライム、バジリスク、ミミック、そしてドラゴン!! 襲い来る凶暴なモンスターを食べながら、ダンジョンの踏破を目指せ! 冒険者よ!!"(ピッコマより)
ドワーフやオーガ、オークなど、大柄でガチムチな種族も女性ジェンダーだからと過剰に美化されたりせず、リアルな体格と様々な容姿で描かれている。SF設定の練り込みが見事。完結作品。アニメ化されている。
●白山と三田さん (三田民子)
"田舎に住む地味カップルの恋愛(?)喜劇!高校生の白山辰彦は、上京したい。趣味のラジオを聴きバイトする日々を送る中なぜか同級生の三田民子と交際する流れに。互いにクセは強いけれど波長は合う。そんな2人のゆる~いお付き合いと上京するまでを見守るラヴ・コメディー、はじまり。"(ピッコマより)
あらすじの通りストーリーの軸はわりと一般的なラブコメなのだけど、あらゆる「普通」が徹底的に排除され、まったく見たことのない作品に仕上がっている。主人公カップルもいわゆるゴリゴリの「陰キャ」な見た目でとても新鮮。ちなみに女の子の三田は運動能力抜群で、基本なんでもそつなくこなす。完結作品。
●彼女の沈清 (沈清)
"生後わずか7日で母親を亡くし、目の見えない父親のために物乞いをしながら生活していた沈清(シン・セイ)。そんな暮らしに限界を感じ、生きる気力も失い死を願っていたその時、印塘水(インダンス)で溺れている少女を見つける。沈清は彼女を助け、そのお礼に赤い腕飾りをもらうのだが…赤い糸で作られた腕飾りが意味していたのは「縁(えにし)」。溺れていた少女は君主に仕える最高位の官吏であるチャン丞相との婚礼を控えていた。ところが、チャン丞相と婚礼を挙げた日を境に奇妙なことが起こり始め、町の人々は彼女を化け狐などと言って遠ざけようとした。しかし、沈清は彼女とお寺で会ったり、一緒にお風呂に入ったり、丞相の世話を手伝ったりと二人でたくさんの時間を過ごした。"(ピッコマより)
沈清伝という朝鮮の古典小説を、フェミニズム解釈で大胆にリメイクした作品。沈清はいつも薄汚れていてボロの服を着た髪もボサボサの女の子。お屋敷に招待された時には男と勘違いされ、追い出されそうになるシーンも…… 後で否定されるとはいえ古典的な女性蔑視がガッツリ描かれている胸糞シーン多めの作品なので、元気な時にぜひ。完結作品。
●シジュウカラ (綿貫忍)
"家族で夫の実家に引っ越してきた綿貫忍(39)。売れない漫画家でもある忍は、これを機に筆を折る決意を固めていたのだが、過去の作品が電子書籍でヒットしたことを受け、新作を描くことに。そこでアシスタントを募集したところ、応募してきたのは橘千秋という、22歳の美しい青年で…。実力派の作者が描く、40歳からの夢と仕事、そして愛と恋の物語。"(ピッコマより)
不倫ものにまったく興味がないどころか嫌い寄りの自分が読みふけった作品。中年男性と少女の恋物語は一部は名作とも呼ばれ古今東西溢れかえっているのに、逆はない。そんなジェンダーギャップに一石投じてくれている。主人公の綿貫忍は、恋愛ものでよく描かれるような、いわゆる「細くて綺麗な若い女性」ではない。完結作品。ドラマ化されている。
●僕とロボコ (ロボコ)
"美少女メイドロボ「OM(オーダーメイド)」が、一家に一台普及する時代。平凡な小学生、平凡人(たいらボンド)は念願の美少女メイドロボに心躍らせていた。しかし、家に来たのは想定外に規格外なOMで!? 僕とロボコの愉快な誤奉仕メイド物語、開幕!!"(ピッコマより)
キャラデザや設定はドラえもんのオマージュ、コミックの表紙はあらゆるジャンプコミックスのパロディと、ネタ要素満載なギャグ漫画。ロボコはガチムチで、社会の画一的な美の基準からは外れた容姿をしているけれど、バカにされたり蔑まれたりはせず、ご主人や仲間たちと楽しい日々を過ごす。連載中。アニメ化されている。
●金の国水の国 (サーラ)
"昔々、隣り合う仲の悪い国がありました。毎日毎日、つまらないことでいがみ合い、とうとう犬のうんこの片づけの件で戦争になってしまい慌てて仲裁に入った神様は2つの国の族長に言いました。A国は国で一番美しい娘をB国に嫁にやりB国は国で一番賢い若者をA国に婿にやりなさい―――そんな中、A国の姫・サーラはB国の青年と偶然出会い…!?"(ピッコマより)
こちらも恋愛描写自体は結構ベタで、姫サーラのキャラデザが作品を新鮮なものにしているタイプ。そして作中の政治描写がまた興味深い。これは最近の日本の政治に物申す意図でもあるのでは? と思ったけれど、コミックの発売年を見てみたら2014年。でもしっかりと今に通ずる話になっている。完結作品。アニメ映画化されている。