タイトルのハリポタ感よ。
『僕とロボコ』という、わりと最近アニメ化された漫画がありまして。オーダーメイドというお世話ロボットが一家に一台あるのが当たり前という設定の、ドラえもんオマージュっぽいギャグ漫画です。
主人公の凡人(ボンド)はクラスメイトたちと違ってオーダーメイドを持ってません。これならいいでしょ?と安いオーダーメイドをママにおねだりしてようやく買ってもらえたんですが……届いてみると、「個性的」な顔、マッスルボディ、膝がナッパ、肝心の家事もろくすっぽできない、インパクト全振りの偽(?)オーダーメイドだった。そんなオーダーメイドのロボコと主人の凡人、凡人のクラスメイトたちが織り成すドタバタ日常劇が描かれています。
……で、そんな個性的なインパクトの塊キャラがメインで出てきたら、倫理観が心配になってくるところじゃないですか。ご安心を。『僕とロボコ』はそのあたりちゃんと考えられていて、時代錯誤なTVバラエティみたいに安易な自虐ネタや「イジり」には走りません。
この作品は2024/01/21現在、ピッコマで1/3くらいまで毎日無料で6話ずつ読めます。蟒蛇もちまちまと読んでるところです。
作品自体とても好きなんですが、救われたというのは今日読んだ20話のことなんですよ。ざっくりとあらすじを言うと、凡人のクラスメイトの女子二人と並んだ時に自分だけイカついことが気になったロボコは甘いものを控えることにしたのですが、なぜか逆にどんどん太っていく。さらに厳しく甘いものを減らす。また太る。そうして部屋いっぱいに膨らんだロボコが爆発しそうになった時、凡人はあることに思い当たり、おもむろにロボコの口にケーキを投げ入れます。するとロボコは元通りに。実は甘いものを無理に控えたことのストレス太りだった!というオチなんですね。
最近の蟒蛇はまた過食が蘇ってしまって寝る前に大量の糖質をかき込んでたんですが、このエピソードを読んだ直後から心がスっと楽になりまして。今深夜3時半といういつもなら過食してる時間なんですが、まったく過食衝動に襲われてません!
別に作者さんは誰かの過食衝動を止めようと思って描いたんじゃないと思うんですよ、さすがに。過度なダイエット文化に小石を投じるような内容にしたかっただけだと思うんです。自分もまさかロボコ読んでて過食衝動が止まるなんて思ってもみなかったですもん 笑
知らない人も多いと思うんですが、摂食障害って蓄積された心理的な傷やストレスや社会規範などが原因になっているので、それらが解消されると止まることがあるんですよ。自分は前にも一度この感覚を経験したことがあって、それは摂食障害の支援団体があることを知って相談メールをしようとした時でした。
その団体の注意書きには、「摂食障害はこうして相談するだけでも衝動が一時的に止まることがあります。でもそれは一時的なものなので、完治を目指すなら長期的な治療をしましょう」みたいなことが書いてあったんですよね。自分の場合、実際にメールをしなくても、助けてくれる存在がいることを認識しただけでも止まりました。(ちゃんとメールをしなかったのは、長期的な相談は有料で、お金がないからです)
なので、太っている人の健康を言い訳にして体型バッシングする人がいますけど、悪化させることになるのでやめてください。先述した通り摂食障害になる人は深刻な事情があり、自殺率も高いです。体型バッシングが体重増加を招くという欧米の研究結果もあったはずです(手元に残してなかったので各自ググってください)。
太っている人がみんな摂食障害というわけではないだろと言う人もいるでしょうけど、この痩せ信仰が根強く差別が蔓延している社会の中で、ただ食べるのが好きなだけという単純な理由のみで肥満になる人は自分はいないと思ってます。ルッキズムに晒されやすい女性は特に。何の得もないですから。
日本社会は過剰な痩せ信仰や体型バッシングやルッキズムに溢れているので、きっと自分のこの穏やかな状態は長くは続かないです。腐敗政治や差別によるストレスも凄まじいです。摂食障害の支援団体にメールしようとした時もそうでした。やはり団体が書いていたように、しばらくしたら元に戻ってしまいました。
体型に何らかの支障を感じて、減らした方が生活に余裕が生まれるなと思ったら自分から減量しようとします。もしできなかったとしても、差別をしていい理由にはなりません。健康のためと言って体型に口を出すことは相手の健康を阻害する結果を招きます。もし本気で心配しているのなら、黙って見守るか摂食障害の支援団体や診てくれる病院をさり気なく紹介してみるくらいに留めておいてください。他者の健康管理の手伝いをする権利・義務を負っているのは、主治医や保護者だけです。その人の友人や恋人であることも、無神経に口を挟んでいい理由にはなりません。
漫画の話から広がりに広がって重い着地をしましたが、小学生の時からむちゃ食いしている自分にとってはそれくらい重要な経験をしたんです。作者の意図のあるなしに関わらず、やはりフィクションには人を変える力がありますね。悪い影響もまた然り、なんですけどね。