タイトルどおり、韓国に行ってきた。コロナ禍の影響で足が遠のき、実に4年ぶりとなった韓国旅行。久しぶりの韓国は、変わった部分も変わっていない部分もあり、相変わらずにぎやかで魅力的なコスメや食べ物にあふれる国だった。今回はこの旅のあれやこれやを綴ってみようと思う。
ということで、さっそくメンバー紹介だ。ズッコケ三人組というからにはもちろん、我ら渦一族三人衆の揃い踏み。イヨーッ! ドドドンッ! ①渦:ツアコン。予約からスケジュール管理、交渉、道案内までなんでもこなすperfect kuroko。常に腰が痛い。湿布が手放せない。②母:猪突猛進ハリケーンBBA。人を振り回す威力はカテゴリー5に分類される。機微は読まない。人の話は聞かない。③姪:生まれたてほやほやティーンなのに、老後か? と疑問を持たれるほど何事にものんびり鷹揚な女子。もっとこう、あるだろっ! と叔母は言いたい。
朝6時半に集合ということで、早朝5時台でも座れない電車に揺られ、えっちらおっちら向かった空港。さすがBBAは朝が早い。やっと座れた私が車内で寝こけているときに「着いたんだけど」のLINE。着いたのはわかった。しかし「だけど」とはなんだ、だけどとは。この「だけど」の三文字に含まれる「なんで私は着いたのにお前はいないんだ。この私が到着した時刻こそが約束の時間であろうが。遅れるな愚か者」の圧。おおハリケーン、朝からハリケーン。まあこんなのかわいいもんですよ。
普段ならこういう言動は華麗にスルーするものの、このときはちょっと考える私。実は今回の旅、出資は100%母なのである。日銀ならぬ母銀。旅の景気は母が握る。総裁はもちろん植田氏ではなく母上氏だ。つまり快適で楽しい韓国旅行を完遂するために、彼女の機嫌は常に良好状態に保つ必要がある。(植田氏が不機嫌になったところで日本経済はダメージゼロだが)。ヘソを曲げて何も買わない何も食べないなんてなったら大変! ということで、一旦眠気を脇に置き、スマホ画面を睨みつける。彼女の機嫌を損ねない気の利いたひと言……ん〜難しい……ハリケーンの気持ちなんてわからんし……てかめんどくさ……。悩むこと3秒、猪突猛進ハリケーンBBAの娘は心のこもった返信を諦めた! カエルの子はカエルである。機微は読まない。
さっそくスルーかまして予定通りの到着時刻だけを連絡し、再び寝こける私。perfect kuroko に必要なものは研ぎ澄まされた気力体力精神力。忘れてはいけないスルースキル検定一級(合格率5%の超難関)。
無事に空港に着き、母と姪と合流を果たしたのだが、ハリケーンBBAはやはり水揚げされたばかりの魚のように鮮度抜群だった(LINEのスルーは気にもしていない様子)。「あらやだ! あんた髪染めたの⁈」おはようよりも前にそれかい。そして「やだ!」とは、その驚きようはなんだ。それは、おしゃれだし美人だし似合いすぎて感動した! という意味にとらえるがよろしいか⁈ 私の返事を待たずに「さっさとチェックインするんだから」と我が道をいく母。隣でぼんやり突っ立っている姪。言うなれば嵐と凪だな。小説のタイトルにできそうだぞ。
猪のごとく航空会社のカウンターエリアまで進む母。母のうしろを、のんびりに見せかけて猛烈な速さで追いかける姪。水を得たナマケモノか? だがしかし! 彼女たちはチェックイン方法を知らない! それなのに止まらない! まさに猪突猛進! ナマケモノのバサロ泳法(古い)! 案の定カウンター付近で立ち止まる母。ぼんやりする姪。君たち、私より先に行ってもいいことなんてないのだよ。なぜならツアコンは私だからな。がはは。「ねえどうやってチェックインするの?」とやかましい母をここでも華麗にスルーしつつ、鮮やかな手つきでセルフチェックインする私。I'm a perfect kuroko. 最近は自動化が増え、色々と簡単になりましたね。はあ〜文明文明。
そんなこんなで空港に到着後、ものの10分で手続きを完了した私たちは、朝ごはんを食べ、出国手続きの列に並び、化粧品の匂い立ち込める女たちの戦場、免税店エリアに足を踏み入れたのでありました。
いつ行ってもすごいね。ギラギラと欲望渦巻く免税店に乗り込み、化粧品に群がる女たち。離れた場所で虚無顔でスマホをいじる子どもたち男たち。CHANELの小さいバッグひとつで買い物する人、山登りにでも行くんか? 的な巨大バックパックを背負う人、ねえねえ春先言うてもまだ寒いよその格好は、と声をかけたくなる半袖短パンの人、その横を杖をついた老人がのんびり歩き、ぴろぴろ陽気な音を発しながらカートが横切っていく光景は、なんというか、濃い。とにかく濃い。なんて思っている間に、猪突猛進ハリケーンBBAは姪を連れて免税店に消えていた。うん、慣れてる。私の最優先事項は食後の歯磨きなので、トイレに行きしゃこしゃこ磨き、再び免税店に戻ったときには、すでに母と姪の姿はなかった。うん、慣れてる。
搭乗ゲートに向けてぷらぷら歩きつつ、通路の左右にどんと構えるハイブランドを遠目に見る。免税店に用はなくてもあの雰囲気は好きだ。高級な匂いがするし、いかにも金持ちな見た目の人々が躊躇なくハイブランドに入っていく姿を見るのはおもしろい。金がある人はじゃんじゃん使えばいいのだ。それも一種のエンターテイメント。空港って歩くだけで楽しい。
そうやって歩いていたら、どうやらのんびりしすぎていたらしい。搭乗ゲートにたどり着いたときにはすでに搭乗が始まっていた。もちろんそこに母と姪の姿はなかった。うん、慣れてる。
無事に飛行機に乗り込み、目当ての品が買えてウキウキの母を横目に指定の席に着き、シートベルトを装着したらあとはもうひたすら待つのみ。そのうち離陸して2時間ぐらいしたら着陸してるわ。頼むぜアシアナ航空、てことで目を閉じた。寝るのだ。ちなみに私は激しく腰を痛めているので、シートに寄りかかることはいたしません。上着を丸めてシートと腰の間に挟み、背筋をピンと伸ばします。寝るときもその姿勢は維持。絶対に寄りかかってはいけない飛行機のシート(電車も然り)。何よりも腰の安全! 骨盤の安定! 直立不動! 二時間だけのバカンスならぬ二時間だけのサムライ。
そして飛行機は滑走路を動きだした。グッバイJAPAN ハローKOREA そしてご安全にKOSHI!! てな感じで私たちは日本を離れました。
まだ韓国に着いてさえいないのにもうすでに疲れた。旅は疲れるものです。てことで次回に続く……(と思う)!