執筆中ファンタジックBL漫画【堕天しないで!ククリエルくん!!】
今回は背景美術について書いていきます。
なにがあるかわからないと背景がかけない
この漫画は天国を舞台に展開します。
最初は漠然と「天国なんだからとっても(主に自然が?)豊かなんだろう」くらいに思ってて、好きな花とか咲かせておけばいいかな〜などとおもっておりました。
天使や天国を描いた絵画を調べてもとにかく雲がもくもくしてて光に溢れてて具体的なイメージはなく漠然とした印象。
じゃあそれでいいじゃん!とネーム(漫画の下書き、イメージ画のようなもの)を切り始めて気づきました。
「背景が描けない」
情報量があまりにもなくて、少なくとも私の技量じゃとても天国に見えない、背景がへなちよこで誰がどこにいるかわからない漫画になってしまいました。
余談。ドラゴンボールの背景の話。
改めて私が神と仰ぐ鳥山明先生の漫画力にスカウター爆発。
ドラゴンボールフリーザ編前半で、ざっくり荒野なだけのナメック星の背景で、見事にフリーザ達とクリリン達のかくれんぼを成立させるのってすごかったんだなあと BBAになってやっとわかりました。
かくれんぼとか鬼ごっこって双方の位置がわかるからおもしろいのに、ほぼ背景の具体的な情報なしでそれを成立させるってどうなってるんでしょう。
みなさんナメック星の背景思い出せますか?どこを向いてもほぼ地球の荒野、たまに地球にない背の高い木や空に星が見える程度で、地図などはほぼでてきません。
手を抜いているといえばそれまでなのですが、その情報量で鬼ごっこかくれんぼエンタメ的に描けますか?私は描けない。ということに気付かされました。
本題に戻ります。
そんなわけで私は詳細に設定を決めないと天国っぽい背景が描けないことに気づき、仕方なく天国づくりを始めました
全体はざっくりと雲と浮島
先ほども述べたように、キリスト教絵画の世界では天国=雲と光、特に天使達は雲に直に立っているようでした。レトロゲームのスーパーマリオやロックマン、光神話パルテナの鏡のピットくんみたいですね。(ピットくんはギリシャ神話のキューピッドが元ネタだとおもいますが)
ですが私に映像を教えてくれた恩師の言葉が思い出されます。
「キャラクターの足元の影はゼッタイ描けよ、キャラクターの存在感そのものだから。」
その教えに従い続けた私にはふわふわもこもこした雲にただでさえ飛んでる天使の影が落ちてもちょっと不安定な印象になりそうだなと思い、ハッキリとした影が描けそうな硬い地面の導入を考えました。
そこで作ったのが空中の浮島。
そう、クロノトリガーの魔法王国ジールです。
前の記事にもかきましたが、空中の浮島がでてきたら私にはもうこれしか描けません。一生描いていられます。
といっても丸パクリとかしてませんよ。あくまで参考にしているだけです。
さあ、これで絵画的な要と天使達の居場所がハッキリわかる浮島の地面ができました。
天国ってなにがあるの?
マジでなにがあるんだ天国。これは歴史的資料はあまり見ずにお話に必要な要素から理詰めで考えていくことにしました。
まず前の記事にもある通り、この天国は1万年前の天国で死んだ人間受け入れシステムがありません。また、紀元前なので聖人とされる方もおらず、神様と天使達だけの場所です。
一の島の神の塔
というわけでとりあえず神の塔を建てました。非常に地球人的な考えですが、天国は地球のはるか上空にあってほしいし、神様はもっと上空にいてほしいよね、というイメージです。
ぶっちゃけ天使は飛べるのでそもそも塔を建築する理由があまりないのですが、それでは視覚的に神様がどこにいるかわかりにくく、
「どこにいても神様が見てる、見守ってくださる、愛してくださる」
というキリスト教的な感覚を、できるだけ仮想読者である宗教った煮よくわからんけど仏壇は拝んどけ日本人(決して馬鹿にしているわけではありません、それだけ日本人の宗教観は強力だということです。)に伝えるために天国のどこからでも見える塔は背景に絶対必要だと思いました。
以上から塔は建設しましたが、これは儀式的なものであり、実用的なものでないので階段はついていない。という設定になりました。
内部の具体的な設定はありませんが、美しい教会のようになってるといいですね、ステンドグラスが人間じゃ作れないくらい高いところまであって、じられない大きい(飛んでつくって使って整備できるからなんでも大型化できる?)パイプオルガンとかがあってほしい。
さて、浮島の話に戻りますが、これを島のどこに配置するか考えた結果、浮島を複数作り、神の塔は最も高度の高い島に配置することにしました。これを一の島とします。
三の島の研究所
二の島の話は後述します。次に三の島には超大型総合研究所のようなものをつくることにしました。
前の記事にもあるとおり、この世界は未完成でせっせと天使達が星や動物や自然やそれらの循環システムそのものを日々構築しています。
だとしたら、それを作る研究所が要るでしょ!!というわけで、思う存分研究してもらうために大きな建物をつくりました。
ただし、縦の移動が得意な天使とはいえ、机は広い方が作業しやすいんじゃないの?というわけで、神塔に比べると平べったく面積が広い建物にしました。
ですがこの三の島の研究所がお話で一番登場しないので漫画の背景にすら出てくるのが2,3回かもしれません...悲しい...
二の島と四の島の大自然
さて、四の島まである事を決めて二の島と四の島の内容を決めていきます。
研究所でデザインされ生まれたと思われる生命がそのまま地球に遣わされたかというと、直感的に私は違う気がするなあと思いました。
全知全能の神と天使達がこの漫画世界の生き物を遣わしているのはわかっているのですが、現実の動植物を見ると人間の目には「どうしてこんな生態してるの??」と思いたくなるような不思議な生き物が多すぎるように思います。
これは天使達が思いの外個性的な生き物のデザインをしてしまい偏りが生まれてしまったせいだと考えることにしました。
二の島と四の島は研究所員が神に許可をとって生み出した生き物を試験的に野生環境に置いて観察するための環境です(植物や微生物や菌、ウイルス等含む)
ゲームで言うところのベータ版をリリースして地球に実装する前の最終デバッグをする段階です。
二の島は広大な水辺で海の生き物を放って観察できます。
もちろんシロナガスクジラ級の生き物を複数入れて海に近い環境で観察できるはずなのでその広さは尋常じゃないハズです。
四の島はつまり陸です。陸のあらゆる環境が揃っています。
その住みやすい土地に下級天使達の住処の塔が建っていて、ククリエル達の部屋もここにあります。
キリがないので作中では説明は省いています。
また、この漫画のほとんどは四の島の出来事で他の場所は出てきません。
最初にも述べたように、一の島から三の島は背景の位置関係が分かるように作っただけで漫画にはここまでの設定は全く出てこないんです!!
なんと涙ぐましい努力!!
でも私が建物を何の建物と分かって書くかどうかでとても建物の雰囲気が変わるのでこだわりました。
下層懲罰房とは
続いて下層懲罰房です。
下層、と書いてあるのは浮島の下側にまるで逆さまのビルのように建設された建物だからです。
浮島だし天使だしどこにどんな建設もできるんだよな~っと想像を膨らませました。
まだ地獄が機能していない世界なので、堕天や地獄行きレベルの悪行を犯した者は別の方法でお仕置きされていたんだろう、ということで登場します。
なんらかの理由があって大きく作られたようですが、現在それほどの人数は入っておらず、入っている者や監視者も建物の奥の方にいます。建物の表側はほとんど放置されていて上層からの目も届きにくいため下級天使のかっこうのサボり場となっています。
デザインのイメージは、ICOというゲームの中盤で主人公が殺風景な建物の外にぶら下げられた鳥籠のような牢屋に閉じ込められるシーンがあって、そこを参考にしています。
鳥籠というモチーフはオシャレですよね。天使のための檻という点でもぴったりです。
こうやって振り返ると私のイメージゲームばっかりですね。ゲーム好きだからしょうがないね!