朝起きることが苦手だ。そもそも睡眠が極めて好きで、仮に今日だけそれを我慢すれば経済的に大きな利益が得られるとしてもそれを手放してしまう。しかも厄介なことに、睡眠が補充され切って冷静になったあとでも「それでも睡眠を選んでしまったことは仕方のないことだ。さてこれからどうしよう…」としか思わず、後悔と罪悪感に苛まれることがあまりない。払うべき代償を理解し、決して少なくないそれを天秤にかけた上で睡眠を選んでしまっている。また、(ショートスリーパー・ロングスリーパーという分類にどれだけの意味があるのか分からないが、)世間で言われる睡眠時間の括りでいえば私は間違いなくロングスリーパーだ。基本的に10時間は眠らないと十分に眠ったとはとても思えず、平日は7-8時間という不十分極まりない睡眠時間でお茶を濁し、起きているのか眠っているのかも分からないような朦朧とした状態で作業をしている。
そんな感じなのだが本来起きなければならない日を何十・何百と繰り返してきているので、近年はそれなりにその成功率も高まってきた。またそれを外圧に対する恐怖からではなく、起きやすいシステムを構築することで達成している。少なくとも自分ではそう思っている。いわゆる定刻起床装置や某ラッパ(これは極めて外圧的だと思うけど)のような、自分の意思と関係なく起きる方向へ平衡を移動させるシステムを設計しておくと、ほんの少しだけ起きられる確率が上がるのだ。誤解のないよう申し添えておくが、あくまで「普段だったら絶対に二度寝していたが、これのおかげて起きることができたな…」という日が年に数日できる程度の効果であり、なぜ社会に溶け込めているのか不思議に思う程度には寝坊している。
屋外用の投光器、コンセントタイマー
神はまず光あれと言われた。カーテンを開けて太陽光を迎え入れるなどという丁寧な能力を持たない民は、部屋の中に太陽があればよいと考えた。神はそのような怠惰な民をお許しにならず、街はこんがりと焼けた。プロトタイプ、-4日目の出来事である。
まずベッドサイドに投光器(本来駐車場をめちゃくちゃ明るくするような用途のもの)を設置する。コンセントタイマーはキッズがゲームやPCの利用時間を制限されるときによく用いられるやつだが、最近はデジタルなものもあるらしい。(ONタイマー)起きたい時間~(OFFタイマー)5分後くらいでセットし、投光器の電源をONにして眠る。光版の目覚まし時計である。スマートフォンの目覚まし時計は鳴ったか記憶に残る確率が体感で75%くらいだが、枕元で投光器が光ればさすがに一度は起きる。布団から出られない問題を解決するため検索しては、「太陽光を取り入れましょう!」という何の薬にもならないTIPSを呪っていたバーチャルシロクマが辿り着いた妥協策である。ちなみに未だにカーテンを開けることができません。
水、カフェインの錠剤、ブドウ糖
目が覚めたときの身体はいろいろな要素が不足していて、それは例えば水分不足であったり栄養不足であったり、逆にまだ眠気の源泉が残っていたりする。ただそれらの摂取は能動で行わなければならず、寝ている間に少しずつ栄養を注入してくれたりするシステムは確立されていない。この点はいろいろ解決のしかたがあると思うが、私はこのタイミングだとものを咀嚼するのがとにかく億劫だし、口の中でほどけたり水で流し込めるならそれに越したことはないということで上記のセットにしている。缶コーヒーとクリーム玄米ブランが良いという人もいるだろうし、エナドリ一本で解決というプランもあると思う。各々の嗜好とコストに鑑みて選択してほしい。正直なところ、コストを度外視するならカフェイン含有のウイダーみたいなやつを選ぶかなーと思う。
そのほか、「複数の目覚ましでPC前までヘンゼルとグレーテルのように誘導する、すなわちヘンゼル・グレーテライゼーションを行う」「外出の日は服を全て着て眠り、玄関に荷物を置き、その荷物の上で目覚ましを鳴らす」など、今は行っていないものも含め対策は多岐にわたる。
これらの対策が100%を生み出さない一番の理由は「飽きてしまう」ことだと思う。たとえば、はじめて朝はグラノーラを食べると固定したときはそれなりに起きることができたし朝食が楽しかったのだが、何か月かやっているとその生活に次第に飽きてしまう。そうすると当初ほどの効果を発揮しなくなってくるし、だんだんグラノーラを食べたくなくなってくる。いずれグラノーラを用意する習慣が途切れ、何か月も食べなくなる。しばらくして思い出したように再開してももう起床を促す装置としては機能しなくなってしまっている。きっとそうならない人が多数派だと思うけれど、少なくとも自分は今までそういった経緯でいくつもの習慣化を破壊してきた。上記の対策たちも遠からずそうなるだろう。私は同じような経緯や苦悩をもった隣人への万能薬は持ち合わせておらず、自分自身についても結局「いまバランスがそれなりに良い」だけに過ぎないが、何にせよ絶望してしまうとロクなことがないので手を変え品を変え頑張っていくのが良いのかなあと思っている。あと毎日同じ回路を走らせて朝起きられる人はすごいよ。