東京の冬はあまりに晴れの日が多くて驚く。とはいえその晴れつづきの冬ももう10年近く経験してきて、すっかり身体は慣れてしまっている。そのことに被災地のニュースを見てあらためて気づかされた。生まれ育った金沢の冬は昼でも薄暗く、夜はすべてが静まり返る。時そのものが凍りついたようで、街全体が真っ白になって、膝の高さまで雪が積もって、それが当たり前だと思ってずっと生きてきた。それが東京に出てきて、まさかこんな快適な土地があるなんてね、となり、そりゃみんな上京するよなと思う反面、東京の冬にいまもどこか居心地の悪さを感じる自分がいる。体の根の部分には故郷の冬がまだ存在しているのかもしれない。