今井むつみ『ことばの発達の謎を解く』を読む。乳幼児がことばを覚えるプロセスを解説した本。子どもは辞書を引いたり授業を受けたりなんてせずに母語を習得していく、それはたしかにかなり謎なことだけど、どうしてそんなことが可能なのか、この本を読んであるていど理解できた。
子どもがしがちな言い間違えも、じつは子どもの知的能力の高さを示しているという。日本人の大人が区別できない英語のrとlの音も乳児は難なく聞き取れてしまうんだけど、それが日本語というカテゴリーを習得するなかで不必要な能力として切り捨てられていく。そうなるともう乳幼児が母国語を覚えるように大人が外国語を覚えることはできなくなるけれど、そういう仕組みを知っておくことで外国語学習の戦略を練り直すこともできるわけだ。