曽田正人の『昴』が途中まで無料で公開されていたので読む。バレエ漫画なのだけど、主人公が置かれた境遇があまりに辛すぎて、そしてバレエの世界もたいへんに厳しく過酷な世界なわけで、ものすごくカロリーの高い食べ物を食べるように読んでいる。むかし10歳かそこらで山岸凉子の『アラベスク』を初めて読んだときも、ふだん読んでいる少年漫画とはまったく違う空気感にただただ圧倒されたのだった。
バレエは舞台芸術のなかでも特殊な世界で、年をとるとどうしても第一線からは離れることになってしまう。30代40代と歳を重ねるなかで作品の解釈を深め、自己の内面性を磨き上げていくことはできるけれど、それを活かすことができる若い身体は若いときにしか存在しない。そのジレンマと向き合い続けなければならないバレリーナは、本当に大変な職業だ。『アラベスク』のなかにもそうしたジレンマを描いたエピソードはあって、幼い頃はピンときていなかったけれど、大人になったいまはそういう話を描くことの意味がよくわかる。