『FOOD ANATOMY 食の解剖図鑑』は食の解剖学と銘打ち、世界の食文化のあれこれを簡単に図解した本。学術的な踏み込んだ記述はフレーバー程度だけど、知らないことも多くて面白かった。あらゆる種類の柑橘類が古来の四つの野生植物(ポメロ、パペダ、マンダリン、シトロン)に由来しているとか、アメリカではトマトやキュウリは野菜に分類されるのに、1947年の関税法でルバーブがなぜか果物になったとか。いつどこで使うのかわからない知識を蓄えるのは楽しい。
しかし、日本ではフライドポテトにふりかけをつけて食べるなどという怪しい記述(文中にはふりかけは「日本のシーズニングパウダー」と表現されている)も散見され、全部を鵜呑みにはできない感。たとえばバインミーは「バゲットに豚肉や鶏肉、魚、豆腐などをはさむ。生のキュウリ、コリアンダー、ニンジンやラディッシュのピクルスなどの具材が一般的」と紹介されていて、間違ってはないけれど……となる。豚も鶏も魚もごっちゃに入った謎のサンドイッチみたいだ。