今昔物語は一二世紀前半に成立した日本最大の説話集で、天竺、震旦、本朝の三部に分かれ、摂関・院政期の史料としても貴重な価値をもっている。一二世紀前半というと平安時代の終わり頃ですね。天竺とはインド、震旦は中国、本朝は日本のことで、水木しげる版は本朝部の仏法・世俗についての説話を中心にとりあげたそう。
しかし説話といってもお固い話はなくて、水木しげるが選んだのだろうユーモラスな話が続く。性欲に目覚め鬼になった聖人とか、老いても色欲盛んな医師だとかがどんどん登場。ある男が道中で急に「したく」なり、女性器に似た大根を見つけて事を済ませたが、その大根をたまたま食べた女性が妊娠してしまい、紆余曲折を経て夫婦となる、なんてやばい話もある。子どもの教育に良さそうと思って購入したご家庭は災難だったでしょう。