AFP通信のニュースでヒンドゥー教の宗教運動「ラムナミ」を知った。インドの聖地アヨディヤの寺院に祭られている「ラーマ神」をもっとも熱烈に信奉する宗教集団で、顔や体にヒンドゥー教の神の名を彫っているのが特徴だ。なぜ神の名を刻むのかというと、彼らはカースト制度の最下層に属するため聖地への立ち入りを禁じられてきたからで、そのため彼らは自身の体に神の名を彫ることで神への献身を示しているのだという。信徒のインタビューでは「私たちは特定の寺院には行かない。そのかわりに、自分の体を寺院に見立てラーマ神の名を唱えるのだ」と語っていた。
ラムナミの人々は、バラモン(司祭)、クシャトリア(王侯・士族)、ヴァイシャ(庶民)の下に位置する下位カースト・シュードラ(隷属民)のさらに下、「不可触民」と呼ばれるダリットの人々だ。教科書ではカースト制度はヒンドゥー教に基づいて形成されてきたと教えられるし、実際そうなのだろうけれど、そこで最下層に置かれたファリットの人々の心を救うのもヒンドゥー教信仰であり、インド社会の複雑さを感じる。