この記事は「ふりかえりアドベントカレンダー2025(裏)」の7日目の記事です。アドベントカレンダー立ち上げ人のくせに、1枠最後に埋めればいいかなーと思ってたら表が速攻で埋まったので、裏に書き記していきます。
昨日のアドベントカレンダーは私でした。10日は小泉さんが埋めてくれました!それまで、記事を書いてみたい方は是非お願いしまーす!
ふりかえりの時間配分をどうすればよいでしょうか?』
ふりかえりを始めようとしたときに出てくる悩みの一つです。
ふりかえりの場づくり
思い出し
アイデア出し
アクションの決定
ふりかえりのふりかえり
上記のそれぞれにどれくらい時間を配分するのか、設計するのか、が定まっていないと迷ってしまいますよね。
この記事では、時間配分の例を共有します。ただし、あくまで「例」であって、実施するテーマや手法によっても異なります。どうすればいいのか分からない!という人向けのサンプルだと思っていただければと思います。
なお、事前に設計した時間通りに行うことが正解ではありません。その場の状況に合わせて、必要な部分に必要な時間を使うことが重要です。
ふりかえりの対象期間を1週間とした場合に、ふりかえりにかける時間に応じて、例を紹介していきます。紹介する具体例は、「期間内に起こった内容をまるっとふりかえりたい」という包括的なテーマを軸にしています。「問題について話し合いたい」「チームの学びを共有したい」といったテーマについては進行はまた別のものになります。
1週間分・90分のふりかえりの例
ふりかえりに慣れていないのであれば、1週間の期間をふりかえるには、90分はほしいところです。90分であれば時間に追われることもなく、具体的なアクションまで出すことができるでしょう。
具体例も紹介します。
同じプロダクトを開発している計8名のチーム。『1週間の活動の共有をして、チームのプロセスの改善のためのアクションを出したい』というテーマで話をしたい場合の組み立てです。
ふりかえりの場づくり:10分
思い出し:30分
アイデア出し:20分
アクションの決定:20分
ふりかえりのふりかえり:10分
手法についてはふりかえりカタログに掲載済みのものをセレクトしていますので、気になる方はリンクより確認してください。
場づくり:Good&New(10分)。1週間の出来事の中で、よかった出来事や、新しい気づきについて思いついたところから話し始める。全員が一言以上話すことを目標とする
思い出し:Timeline(30分)。月曜~金曜までの1週間のうち、それぞれが行った仕事、出した成果、発生した課題などを時系列順に出していく。最初の10分は個別で付箋に黙々と書いていき、5分で貼り付けをしながら全員の付箋を眺め、15分で共有しながら「そういえばこんなこともあったね」と付箋のマップを広げていきます。
アイデア出し:3Ls(20分)。Timelineの上から、Liked(好ましい出来事)・Lacked(改善したいこと)を別の色の付箋で載せていきます。5分間で個別で付箋に書き、貼り付けていき、10分間で共有しながら何ができるかを話していきます。最後の5分間は、ここまでの話を総括したうえで、Longed for(望む状態)を話します。
アクションの決定:SMART Goals(20分)。先ほど出したLonged forを実現するためのアクションについて全員で話し合います。アイデアが複数ある場合は、Effort & Painなどの分類手法によりアクションを絞り込んだうえで、1つのアクションについてより具体的な情報を記載していきます。10分程度具体化する活動をしたら、残りの10分間では、アクションを軽く実行してみて、考慮漏れがありそうな部分を補完していきます。
ふりかえりのふりかえり:+/Δ(10分)。ふりかえり全体の進め方や、話す内容などについて、うまくいった部分・よかったコミュニケーションや、改善したい点について5分間話し合います。残りの5分は、ふりかえりの終了に向けて、ふりかえりで出したアクションをタスク化したり、ふりかえりのふりかえりで出したアクションを、次回のふりかえり用に書き残しておく等しましょう。
1週間分・60分のふりかえりの例
ふりかえりに慣れていたり、数名のチームの場合は60分程度でもよいでしょう。テーマは90分の場合と似た状況を想定します。
同じプロダクトを開発している計5名のチーム。『1週間の活動の共有をして、チームのプロセスの改善のためのアクションを出したい』というテーマで話をしたい場合。
ふりかえりの場づくり:10分程度
思い出し:20分程度
アイデア出し:15分程度
アクションの決定:10分程度
ふりかえりのふりかえり:5分程度
この場合、アクションの決定の時間が短くなり、アクションがその場で実行できない可能性が高まります。出来る限り早くアクションを実行する計画を立て、スケジュールやタスク一覧(バックログ)に載せておきましょう。アクションを実行したら、うまくいった/いかなかったを含め、チームでアクション自体の改善を行います。
1週間分・30分のふりかえりの例
本当に時間がない!ふりかえりの定期化もできていないけど、なんとかやりたい!という場合は、30分だけでもやる価値はあります。
今回の具体例を紹介します。
カスタマーサポートを行う計4名のチーム。リリース直後でバグが頻発しており、ユーザーからの対応にひたすら追われており時間がない。テーマは「状況を共有し、ちょっとしんどいこの現状を打破したい」。
ふりかえりの場づくり&思い出し:15分
アイデア出し:12分
ふりかえりのふりかえり:3分
時間の都合上、場づくりと思い出しを同時に行います。アクションの決定や実施はふりかえりの外で行います。
ふりかえりの場づくり&思い出し:希望と懸念(15分)。現状の状況において、「こうなっていたい」という希望と、「ここがリスクだと思う」という懸念を話し合います。最初の3分は付箋で黙々と書きつつ、その後は12分間、どのような希望・懸念があるかを広げながら話していきます。主に懸念について深く掘り下げていくような形になるでしょう。
アイデア出し:1%の改善アイデア(12分)。希望と懸念で出した内容に対して、1%でもよくするために何ができそうか、を話し合います。本来であれば根本原因を探して潰すべきではありますが、探す時間と余力がありません。まずは少しずつでも問題をつぶしていき、筋のよさそうなアクションを探していくことを目的とします。いくつか上がったアイデアの中で、実行したいものに関しては〇をつけておき、ふりかえり後にアイデアについて話し合う時間を10分作ることを合意し、スケジュールにセットします。その場は全員集める必要はなく、2名ずつのペアでアイデアを1つずつ実現していく、という形でも構いません。
ふりかえりのふりかえり:感謝(3分)。忙しい中でも、ふりかえりの中で話し合ってくれたこと、普段仕事で助け合ってくれていることについて、感謝の言葉を伝えあいます。
時間は細かく決め過ぎずに、チームが納得できる・満足するように話す
90分、60分、30分の場合についての設計をお話ししましたが、イメージはわきましたでしょうか。これらの時間については「時間が来たので次の手法に進みます」という風に機械的に進めればいいものではありません。話をぶった切ったりするのではなく、その場のアイデアや意見の出方を見ながら、次の手法に進んだ方がよければ時間を待たずに進んでもいいですし、後ろの手法に進んだとしても、前の手法(問い)に立ち戻って話をしてもよいのです。
他の2週間・1か月といった期間や、別軸のテーマについての具体例については、ニーズがあれば書かせていただきますので、その旨SNS等で反応いただければと思います。
師走もあともうちょっとで終わりです。皆様、2025年もよきふりかえりをして過ごしましょう。