ふりかえりの「テーマを決める」にも筋トレが必要

この記事は「ふりかえりアドベントカレンダー2025(裏)」の6日目の記事です。アドベントカレンダー立ち上げ人のくせに、1枠最後に埋めればいいかなーと思ってたら表が速攻で埋まったので、裏に書き記していきます。

昨日のアドベントカレンダーは私でした。13日まで空いている。誰か埋めていいのよ。空いていると私が埋めちゃいますよ。

「その場その場によって、チームにとって話したい内容は変わります。ふりかえりはテーマを決めて話しましょう。」

私が書籍や講演などを通して、いろんな人に伝えている言葉です。そんな中で、こんなことを聞かれることがあります。

「びばさん、テーマってどういう風に決めればいいですか?」

「ふりかえりの8つの型があります。その型に沿ってテーマを決めてみるのが最初はおススメです」

「型は分かる…のですが、話すテーマと言われると中々難しくて。」

「なるほど。具体例をいくつか挙げますね。これでどうですか?」

「いけそうです!」

『手法を決めるよりも、テーマを決める方が難しい』

手法を決めるのは楽です。カタログを見て、今日はこれがいいかな、と選んでみるのはできる。なぜかというと、やり方がある程度明確で、「何を話せばいいか」が決まっているものも多いからです。実際には「テーマ」は自分で決めたうえで手法の中の「問い」を使っていくのが想定される使い方ではありますが、道具ありきで場を進行させていく、というのがあってもよいとは思います。

では、その「テーマ」をどうやって決めるのでしょうか。

例えば、

  • 今週はインシデントが起こって大変だったから、インシデントの再発防止について話し合いたい

  • チーム全員が忙しくて、互いの成果やプロセスが見えづらくなってきている。どこかでヒューマンエラーが起こるかもしれないから、やっていることを共有してコミュニケーションを強化しよう

  • ここのところ近視眼的に動きすぎている気がする。チームのゴールってなんだっけ?事業のゴールってなんだっけ?どれくらい近づけるのか再確認して、みんなでやり方を再点検するきっかけにしたい

などが具体的なテーマです。

この「具体的なテーマ」というのが曲者で、「話したいことは何?」と聞かれても、考える筋トレをしていないと、パッと出てきません。ふりかえり慣れしていないチームこそ、「今日は何を話したい?」と言われるときに、具体例がないと想像ができないんです。

ファミレスのセットメニューのように、「唐揚げ定食・ごはん味噌汁付き」「ミートソース・コーンスープ付き」「ラーメン・半チャーハン」のような選択肢を提示されて初めて、

  • 今日は揚げ物の気分じゃないな、でも大根おろしがついてるやつなら食べたいかも

  • ミートソース、洋食ね。ハンバーグも欲しい、むしろハンバーグの方がいい。ないかな?

  • ラーメンは食べたい、けど半チャーハンは重いな。ラーメンだけでよくて、ラーメンの種類は…?

といった、選択肢から連想するものによって、他のものが想起されていきます。

『テーマを決めるにも筋トレが必要』

ではふりかえりに関してはどうすればよいか。テーマを決める筋トレをしましょう。筋トレにはいくつかやり方があります。こちらの2つのやり方をバランスよくやるのがおススメですので、紹介します。

  • ①ふりかえりで何を話したいか?というのを話し合う時間を何回も経験する

  • ②とにかくたくさんの手法を試して、色んなテーマがあることを知る

『①ふりかえりで何を話したいか?というのを話し合う時間を何回も経験する』

まさに筋トレって感じですが、ふりかえりの最初に「今日はみんなで何を話したいですか?」というのを全員に問いかけ、話を膨らませていきましょう。

一人1つずつでも、どんな内容でもいいです、という形で1つでも意見がでれば、広げていくことはできると思います。1つの意見から、他の人が意見を派生させたり、発散させたり、深く掘り下げたり、ということは普段のふりかえりでもやっていることのはずです。

今日話したいことは何?というのをテーマにはじめ、話の広がりによって、そのまま手法を定めずに話を続けていく。それだけで60分終わる。そういったふりかえりがあっても全然かまいません。

全員が満足・納得できる方向に行く。アクションまでたどり着くことはできなかったとしても、自分たちに必要な話というのに向き合って、話をすること自体が、チームにとってプラスに作用します。

『②とにかくたくさんの手法を試して、色んなテーマがあることを知る』

手法はテーマの宝庫です。

例えば、Celebration Grid。チームの成功・失敗と、ミス・実験・プラクティスの3つの掛け合わせによって、自分たちの行動を内省し、よりチャレンジングなチームへと変えていきます。

例えば、3Ls。Liked(好きなもの・好ましい出来事)、Lacked(自身やチームに書けているもの、改善したいこと)、Longed for(望むもの)の3つの質問に答えます。チームの状況を把握し、未来を想像する手法です。

具体のテーマを決めずとも、「こういう問いがあるのか」「こういう話し合いができるのか」という経験を積んでいくと、「もっとこういう話をしたい」とテーマに対しての意見が出せるようになっていきます。

テーマを決めてから手法を選ぶものなのに、テーマを決めずに手法を選ぶことが、結果的にテーマを決められることになる。これもやり方の一つです。

『①②どちらにせよ、ふりかえりのふりかえりは必要』

ふりかえりをしてみて、このテーマを話してみてどう感じたか、この手法をやってみてどう感じたか、というのを5分でいいので話し合いましょう。筋トレのあとにプロテインを飲んで、筋肉の超回復を促し、より大きな筋肉にするイメージです。ふりかえりに向き合う力や、考える能力も、ふりかえりをふりかえった場合と、ふりかえらない場合とで、伸び方が大きく違うのを、私も多数のチームで経験し見てきています。

テーマを決めるのが難しいと感じていた方は、①②+ふりかえりを是非試してみてくださいね。結局は何もないところからテーマが湧いて出てくるというのはないので、(自分もしくは他者や先人の)経験の中からテーマは湧き出てきます。

筋トレ、しましょう。

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ふりかえり&Miroエバンジェリスト。みんなに強化魔法をかける人。ふりかえり/チームビルディング/ファシリテーションの相談やワークショップの依頼もお気軽に。ふりかえり読本販売中⇒ bit.ly/2AFdkmZ ふりかえりam⇒ bit.ly/37O5HZl