この記事は、きょんアドベントカレンダー(きょれんだー)のDay6の記事です。前日はEmiさんの記事です。きょんさんからのプレゼント、という内容。素敵。
この記事ではきょんさんの見え方が私にとってどう変わっていったか、というお話をしようと思います。私にとって、尊敬する、日本を変えるという想い同じくする同志として、きょんさんへ贈る。そして、きょんさんが「なんか怖そう」と思う人へ贈る。
<<畏敬>>
時は2018年1月9日、RSGT2018。
私がRSGTに人生で初参加したその日。私は日常とは違う、「異質」なものが目に入ってきました。
黒衣、サングラス、堂々たる立ち振る舞い。私はRSGT自体が初参加で、右も左もわからない、そして知り合いも少ない。このコミュニティがどんなものなのかも、まだよくわかっていない。そんな中での出会い。会社という閉ざされた領域の中に居続けた私にとって、衝撃的な出会いでした。
ネットワーキングパーティや懇親会に参加したときに、聞こえてくるのは「きょんさんっていう人が凄い発表をしていて」という声。彼の話を聞いて感じたのは「理解不能」「尊敬」が入り混じった「畏敬」。「あぁ、あの凄いオーラの人がきょんさんというのか」と、脳内の周波数が合った状態にはなりましたが、話しかける勇気もありませんでした。私が話すなんて、おこがましいと思っていたからです。
彼の登壇は聞きにいっておらず、後日そのスライドを拝見しました。
アリ、1時間スプリント、超個体、KPTの壁。マジで何を言っているのか分からん。私がアジャイルに出会って半年間で学び、行動し、確かめてきたプラクティスの延長線上にはまず想像のつかない言葉の羅列。そもそも遠い概念すぎて、「なんかすごい(語彙力が消える)」くらいにしか感じられなかった自分がいます。何か一つでも真似してみたいな、と思って、KPTの壁を真似してみたのを覚えています。
<<憧憬>>
そこから1年が経過します。きょんさんと最初に話したのは、RSGT2019でした(過去の自分のブログにそう書いていました)。
その後、RSGT2019ではフラクタルスプリントの話。
https://www.youtube.com/watch?v=7xhxIYYMmTc
「カッコいい」。
私の心からスッと出てきたのは、その一声でした。登壇後の質問に、「きょんさん、かっこいいです」と伝えて、何かを聞いたのを覚えています(何を聞いたかは覚えていません)。でも、1年前に分からなかった、遠い存在に見えていた彼の話が、彼の模倣を一度したことによって、「やれば何かが分かる」と思える話に思えてきていました。
何も分からない、覇気によって圧倒される、神のような存在。そんな対象からは「畏怖」「畏敬」を感じます。
でも、私が彼の道の一部を模倣したことによって、見え方が変質していったように思います。
当時、私が興味を持っていたのが、及部さんのSilver Bullet Clubや、きょんさんの47機関の「チームとして働く」という考え方。組織をどうやって良い方向に変えていくのか、その一つの解が「最強のチームを自分たちで作る」というものでもあると考えていました。彼らの話を聞きたい、彼らのイズムを知りたい、彼らに並び立ちたい。そういう憧憬(憧れ)を持って、話を聞きに行ったのを覚えています。
初めてお話ししたとき、向こうもふりかえりの話をしている人だ、って言う風に認知はしてくれていたので嬉しかった。

Day3後の懇親会では、木村さん、及部さん、きょんさん、よたさんと飲んでいて、ここから自分の動き方が、決定的に変わっていったのだと、今思い出しました。

ここらへんから、私も周囲から見るとエクストリームな生き方になっていったんでしょうね。ひたすらに他者のために。ひたすらに日本のために。ふりかえり読本などの書籍を3か月に一度のペースで作り始めていたのもこの時期でした。
<<脱神化>>
そしてまた時は1年過ぎ、RSGT2020。
2019年以降は各種コミュニティ・カンファレンスイベントにも参加し、きょんさんとも話す機会は多かったように思います。Scrum Fest Osakaが開催されて、各地にフェスに生まれ始めたのも2019年以降だったかな、と記憶しています。
そして、きょんさんの発表は勿論聞きに行きました。
https://speakerdeck.com/kyonmm/redefine-team-theory-of-evolution-and-agile
進化論、アジャイル、フラクタルスプリント。これまでのきょんさんの集大成のようなスライド。毎年のように去年の自分を乗り越えていく姿に勇気づけられます。
私は1年間で、エクストリームな動きができていただろうか。何か進化しているだろうか。そんな答え合わせの場でもあったように思います。
聞いていて感じたのは、「2年前には全く何を言っているのか分からなかったけれど、今はすべて理解はできずとも共感はできる。自分でも、何かをやれる気がする。やったら、何か自身が進化する確信がある」というものです。
自分の中で何かが変わったのかもしれません。ただ、それよりも大きいのは、きょんさんと何度も話をし、彼の考えに触れたこと。彼は神でもなんでもなく、想いをもって(それでちょっぴりエクストリームに行動する)、そんな一人の人間なんだと感じられるようになったからこそ、「信仰」という靄に隠れて見れていなかった、彼の話の本質の一部が、見えるようになってきたのかもしれません。
あとは、終わったあとの懇親会で(夜1-2時くらいだったような気がする)きょんさんとよたさんとビアバーで飲んで、きょんさんが飲み潰れて、ひたすら攻殻機動隊やアリのオタクトークを聞いていた瞬間。よい言い方が浮かびませんが、「きょんさんも(私と同じ)ただのオタクだった」という経験ができたのも、彼に親近感を持つ一つの出来事だったかもしれません。
<<同志>>
きょんさんや、及部さん、他の人に触発され、そこから様々なことを私も取り組んできました。
3時間スプリントから始まり、1時間スプリント、30分スプリント、15分スプリント、そしてフラクタルスプリント。
KPT as ARTに、転職できるくらいの強いチームを作るという活動。世の中に、チーム名を刻むこと。
彼が毎年RSGTで話す内容はいつも刺激にあふれ、未知の情報に満ち、示唆をくれました。半分以上は「本当にそうなのだろうか?」と効果が想像できないもの。でも、彼の活動の軌跡は真似ができる。一歩でも踏み出せば、何かが分かると信じられる。
それからも沢山、きょんさんとは話をしました。
互いの役割が年によって変わるにつれ、視点や関心ごとは移り変わっていく。私もスクラムマスターになり、プロダクトオーナーになり、アジャイルコーチになり。チームを抱え、プロダクトマネージャーになり、経営層とも話をするようになり。互いの成長も楽しい。
2022年頃からは、日本をどうやって変えていくか?という話もするようになりました。少子高齢化が進み、GDPも下がりつつある、このままだと衰退の道をたどり続ける日本をどうするのか。
彼と私は違うアプローチを取っているし、道は異なります。でも、その先にある大きなゴールは一緒だと信じています。同じ想いを持つ同志だと私は考えています。
<<きょんさんへ花束を>>
元は、神のような存在として見ていたものが、いつしか同志へと変わる。彼が何かが変わったというよりも、きっと私の振る舞いや見方、メガネの焦点が変わっていったほうが大きいのでしょう。
世の中の「凄い人たち」を見て、「この人に追いつける気がしない」「この業界でやっていけるのだろうか」と自身を卑下してしまう、諦めてしまう人もいます。私も、昔は少しだけそのように思っていました。でも、そもそも彼らに「追いつく」「抜かす」必要なんてない。並び立つのは、資格はいらない。心の持ちようだけで、すぐに一緒に物事を変えていける、同志になれる。そう考えれば、世の中は仲間に満ち溢れていて、勇気や力をくれる人たちが、周囲にたくさんいる。
そう気づけたのは、きょんさんの存在が大きかったのだと、ふりかえってみてそう思います。
スクラムフェス神奈川 2025のキーノートで話した「心に灯を、過去に感謝を、未来に花束を。」という内容。
https://speakerdeck.com/viva_tweet_x/xin-nideng-wo-guo-qu-nigan-xie-wo-wei-lai-nihua-shu-wo
ここには、本当はお世話になったあと50人くらいの人の名前を載せたかったのですが、時間的にも載せることができず、、、。

でも、私の価値観を変え、行動を変える、そんなパワーを外から与えてくれた1人は、間違いなくきょんさんでした。
この場を借りて、きょんさんに、感謝を伝えたいです。いつもありがとうございます。
実は、RSGT2026で私が話す「1万人を変え日本を変える!!多層構造型ふりかえりの大規模組織変革」には、フラクタルも、セミラティスも話として入っています。間違いなくきょんさんの影響を受けていますが、借り物ではなく、自身で実践・実装してきたからこそ、自分の言葉で語れるようになったと思っています。これも、きょんさんのおかげです。
夜闇が訪れる中、道が分かれていたとしても、互いのランタンに灯りをともし、互いの信じる道を歩んでいけば、きっと夜を超え、ともに美しい朝日を迎えられると思っています。
どこかで道が交わる瞬間があったら、それはそれで喜ばしいですね。そんな未来も想像すると楽しくなります。
今後もよき同志として、互いに研鑽させてください。